同じIT企業といっても、国によって事情は異なる。例えば米国ではパッケージ開発がコアビジネスだが、日本のIT企業は受託開発がメインだ。この違いが、数字のうえにどのように表れるのだろうか?
江水君 冠里さん、この間は済みませんでした。せっかく、ためになる話をしてもらっていたのに、中座してしまって……。
冠里さん まったく、最近の若者は人の話をきちんと聞かなくて困ります。で、今日はどんな用件ですか?
江水君 IT業界のことを、もっと教えてもらいたいのです。
冠里さん それは感心です。では今日はIT業界で働いている人から、業界像を考えてみましょう。まずは、図1のグラフを見てください。これは、2000年における各業界の従業者数です。このデータによれば食品業界と化学業界が50万人、IT業界が45万人、鉄鋼が16万人、アパレルやドラッグストアの業界は10万人を切っています。次のグラフを比較してください(図1、図2)。
江水君 うわ。IT業界の従業者数がとても伸びていますね。
冠里さん 前回もお話ししたように、この時期、売り上げが伸びているので、人も増えているわけです。
江水君 でも、同じように売り上げが伸びていた鉄鋼業界は、IT業界ほど人数が増えていないみたいですけど……。
冠里さん いい質問ですね。それは、鉄鋼業界が製鉄所という設備への依存度が高い業態であるのに対して、IT業界は基本的に人に依存する業態だからです。極論すれば、IT業界の場合、売り上げを増やしたければ、人を増やすしかないのです。
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