Gartnerのアナリスト、社内でのFacebookやTwitter禁止を批判

FacebookやTwitter、MySpaceなどのソーシャルアプリケーションは職場のコミュニケーションやコラボレーションを円滑にするので、一概に禁止すべきではないと、Gartnerの2人のアナリストは主張する。エンタープライズアプリケーションに組み込んで利用するにはまだ十分とはいえないが、FacebookやTwitterなどは企業が信頼するモデルを採用していれば、従業員と顧客の結びつきを強めるといったプラスの効果もあるからだ。

» 2008年08月09日 08時30分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Gartnerのアナリスト、アンソニー・ブラドレー氏とニコス・ドラコス氏は、「Twitterなどのソーシャルアプリケーションや、Facebook、MySpaceなどのソーシャルネットワークを社内で禁止すべきではない」と主張する。

 Credit Suisseグループなどの金融機関がオフィスでこれらのツールの利用を禁止したことから、企業のそうした単眼的な認識に両氏は反論を試みようとしているのだ。

 Webコラボレーションツールは、プロジェクトで連携したり、情報を共有したりなど、ユーザー同士の結びつきを支援するソフトウェアアプリケーションだ。ユーザーにとっては企業内でインターネットを活用するための重要な手段であり、電子メールやインスタントメッセージ(IM)を相互にやり取りできるほか、Web会議をセットアップする、共有Wikiサイトを構築するなどができる。

 Microsoft SharePointやIBM Lotus Connectionsなど、そうしたツールをエンタープライズ向けに洗練させた製品もある。しかし、Facebookのユーザーは9000万人を超える。今日、ビジネスネットワーキングツールとしてソーシャルネットワークを再評価する企業は増えており、LinkedInなどは多くのプロフェッショナルに支持されている。

 その利便性を考えれば、「もはや企業は規律上問題があるからといって、ユーザー参加型Webツールの活用に二の足を踏むべきではない」とブラドレー氏は話す。

 むしろ企業はFacebookや類似のサービス、あるいはTwitterやPlurkなどのマイクロブログツールの適切な利用方法を定めた信頼モデルやポリシーを積極的に構築すべきであり、その信頼モデルにコミュニティーの定義や特性、好ましい慣行と好ましくない慣行、それらの指標となるフレームワークなどを含ませれば良いという。

 わたしもブラドレー氏の意見に賛成だ。ここで1つ、ディスクロージャーしよう。実は、わが雇い主のZiff Davis EnterpriseもFacebookにグループを持っており、eWEEK.com編集スタッフのほぼ全員がそれに参加している。またFacebookだけでなく、LinkedInやTwitter、その他のサービスを使って互いにコンタクトすることもできる。

 わが社でそれらの利用を禁止することなど、もはや想像すらできない。もちろん、われわれは情報を広く伝える仕事をしている。そしてFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏が頻繁に口にするように、Facebookは情報を共有するためのものだ。わが社で禁止する理由があるだろうか?

 企業がFacebookを拒絶する理由は、いくつか考えられる。まず第1に、生産性に及ぼす影響である。一部の人々があまりにも長い時間ネットワークに没頭するため、仕事の生産性が著しく低下してしまうのだ。

 実際、わたしのFacebookネットワークの友人たちも、毎日のように――実際、毎日――Good KarmaやMob Warsへの参加を促す招待状を送ってくる。それらはどう考えても生産的ではない。IT部門が社内のソーシャルアプリケーションやネットワークのトラフィックを監視しなければならない理由は、そこにある。

 また、それに関連した懸念もある。もし仮に数百人の従業員が同時にFacebookの仮想現実アプリケーションを実行したり、YouTubeの動画を再生したとしたら、会社の生命線ともいえるネットワークは大丈夫だろうか?

 われわれは自分たちの会社が太いパイプでインターネットに接続していると思いがちだ。そしてアプリケーションや、あらゆるコンピュータリソースが無限にあると思いがちだ。実際には、そんなことはありえない。

 当然、企業のマネジャーたちは、「適切かつ倫理的な企業ポリシーを尊重しながら、好ましい慣行を確立するためのオンライン利用ポリシーと一般ポリシーステートメントを作成しなければならない」とGartnerのドラコス氏は言う。

 このほど開催されたGartnerのカンファレンスでの模擬ディベートでは、企業内でFacebookを利用することに反対の立場で議論したドラコス氏だが、「もし従業員がソーシャルネットワーキングのプロフィールで自分の所属する会社名を公表したら、その従業員の書き込みはすべて会社の名声に直結することを認識しなければならない」と話す。

 また従業員の間違った行為、例えば著作権の侵害や不適切なブランドの使用などについて懸念する企業は、表現の自由に抵触しない範囲で、それらに関するポリシーを別に用意する必要があるだろう。

 ブランドレー氏とドラコス氏のリポートは、Gartnerの同僚アナリスト、ニック・インゲルブレクト氏の研究で補完されている。同氏は今年7月、「ビジネス向けソーシャルサイトはまだほとんど未開発だが、今後、大企業の競争優位性にとってますます重要になるだろう」と予測している。

 「この分野はまだまだ未成熟だ。企業は当面、消費者向けソーシャルネットワーキングの世界で何が起きているか注意を払う必要がある。そして従業員が就業時間中にどのようにFacebookやMySpaceなどのサービスを利用できるか、適切な利用ポリシーを実装しなければならない」とインゲルブレクト氏は語る。

 あなたの会社は、従業員がソーシャルネットワークにアクセスすることを許しているだろうか?

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