Web2.0時代を築く――スタンフォード大学出身の華麗なる面々今日から使えるITトリビア(1/2 ページ)

米国カリフォルニア州にあるシリコンバレーはスタンフォード大学の出身者たちがIT企業を大学近隣に設立したのが始まりだ。「Die Luft der Freiheit weht(自由の風が吹く)」を校是とする同大が輩出したITリーダーはどのような面々なのだろう?

» 2008年08月16日 08時00分 公開
[吉森ゆき,ITmedia]

スタンフォード出身者による起業が集中――でも成功だけではない

 1891年に開校したスタンフォード大学は、米国西海岸随一の私立大学であり、東海岸のハーバード大学とともに全米屈指の名門校として世界的に有名である。広大な校地の周辺は、通称「シリコンバレー」と呼ばれ、世界的なIT企業の拠点が数多く置かれている。それもそのはず。シリコンバレーは同大学の出身者たちが大学近隣で創業したことから始まった場所なのだ。

 シリコンバレーで生まれた数多くのIT企業の中で、最も古く、かつ規模も大きな企業がヒューレット パッカード(HP)。同社は1939年、ウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードによって設立されたが、ヒューレットとパッカードはスタンフォード大学の同級生だった。ただし、HPが設立されたのは、最初のコンピュータと言われる「ABC」(1942年)や「ENIAC」(1946年)よりも前のこと。最初の製品はヒューレットが大学院在学中に起こしたデザインから製作した「オーディオ発振器」であり、IT企業へと転換を図ったのは1970年代である。いわゆるシリコンバレーが本格化し始めたのはそれ以降のことであり、続々とスタンフォード大学の出身者によってIT企業が設立されていった。

 スタンフォード大学から創業した代表的なIT企業と言えば、大学構内ネットワーク用ワークステーション開発を端に発し、Stanford University Networkの頭文字「SUN」を社名にしたサン・マイクロシステムズ。1982年に同社を設立した創業者のうち、アンディ・ベクトルシャイム、スコット・マクネリ、ビノッド・コースラがスタンフォード大学の出身者だ

 とはいえ、スタンフォード大学出身者がシリコンバレーで起業したIT企業は、すべてがうまくいっているわけでない。経営破たんや吸収合併により現存しない企業も数多い。

 スタンフォード大学でコンピュータグラフィックスを教えていたジム・クラークは、1982年にスタンフォード大学の学生たちとシリコングラフィックスを創業した。同社は一時期、RISCプロセッサベンダーのミップス・テクノロジーズを子会社化したり、スーパーコンピュータで有名なクレイ・リサーチを傘下に収めたりしたことがあったが、2006年に経営破たんしている(現在はNASDAQに再上場するまで業績を回復)。さらにクラークは、1993年にモザイク・コミュニケーションズ(後のネットスケープ・コミュニケーションズ)をシリコンバレーに創業しているが、こちらも1998年にAOLに買収されている。

 今はアドビシステムズに吸収されたマクロメディアの創業者の1人、バド・コリガン、インテルに吸収されたチップス&テクノロジーや2003年に経営破たんしたソニックブルーの前身であるS3グラフィックスを創業したダド・バナタオなども、スタンフォード大学の出身者だ。

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