ニュース
» 2008年09月03日 13時53分 UPDATE

ブラウジング体験を向上:「V8」エンジンに込めた高速化の願い、Google Chromeの狙いとは

「Google Chrome」ブラウザ公開は、複雑性を増すWeb環境のパフォーマンス向上が狙いだったと、プロジェクト担当者が説明した。

[國谷武史,ITmedia]

 グーグルは9月3日、日本時間で同日未明に公開したWebブラウザ「Google Chrome」のβ版に関する記者説明会を開催。米Googleのエンジニアリングディレクター、ライナス・アプソン氏がテレビ会議を通じて開発の経緯を説明した。

 Google ChromeはオープンソースのWebブラウザとして、世界100カ国以上で同時公開された。アプソン氏は、「ユーザー体験の向上と複雑化するWebアプリケーションへの対応、Web開発者の環境を改善していくことを目標にした。今回のリリースがすべてのWebブラウザ製品に良い影響を与えることを望んでいる」とコメントした。

googlechrome1.jpg テレビ会議でGoogle Chromeを説明したライナス・アプソン氏

 同氏によれば、Google Chromeの開発で最重要視したのが使いやすさとパフォーマンスであり、Googleが開発を進めてきたJavaScriptエンジン「V8」とAppleが無償公開するレンダリングエンジンの「WebKit」の組み合わせがその原動力になるという。V8という名称はV型8気筒エンジンに由来する。米国製自動車ではV8エンジンが高性能を表現するステータスシンボルであり、Google ChromeのV8はそのシンボルにあやかって命名されたものであるという。

 V8はデンマークを拠点に活動しているJava VM開発のエキスパート、ラーズ・パーク氏のチームが20年近く蓄積したノウハウを反映させて実現したものだと、アプソン氏は説明。「既存の処理性能を何倍にも高速化することに注力し、今後のWeb世界での標準になることを目指したものだ」(同氏)

 WebKitの採用理由について、同氏は「Safariでの採用実績に加え、描画処理性能の素晴らしさをわれわれも重視した。WebKitプロジェクトには、特に“セーフティブラウジング”(クラッシュなどの影響を最小限に抑えるなど)の部分で積極的にかかわってきた経緯もあり、Google ChromeではWebKitの成果を活用した」と話した。WebKitを採用することで、Web開発者がGoogle Chrome用に新たな開発を行わずに済むよう配慮したとも、同氏は説明した。

googlechrome2.jpg アドレスバーと検索窓を兼ね備えた「多機能ボックス」や各タブが独立して実行する仕組みはシンプルさと使い勝手を追求した結果であるという

 グーグルが独自に実施したレンダリングパフォーマンスの比較では、ローカル上に保存した複数サイトのWebページを連続表示させた場合、Internet Explorer 7では約257ミリ秒、Firefox 3では158ミリ秒、Google Chromeでは68ミリ秒という結果になった。

「競争環境」の実現に意義

 オープンソースのWebブラウザとしてはMozillaのFirefoxなどが存在するが、Google Chromeをオープンソースとして展開するのは、「競争環境がWebの世界にとって最良だと判断したからだ」とアプソン氏。「われわれもFirefoxへ積極的に関与している。だが、社内では“オープンなWeb世界をさらに広げるには競争しなければならない”という意見が強く存在していた」という。

 アプソン氏はMozillaとの関係について、「彼らの活動を尊重しており、これまでの関係が変わることはない。セーフティブラウジングの技術や共有しているソースコードも多く、今後もより良い関係を築いていけるだろう」とコメントした。

 GoogleのWebブラウザ提供は、検索サービスを始めとする同社のさまざまなWebサービスのユーザーを囲い込むのが狙いだという指摘もある。だが、同氏は「各種サービスはすべてのWeb利用者に開かれたものだ。Google Chromeは、あくまでWeb体験の向上するためにわれわれがユーザーに投げかけた選択肢の1つにすぎない」と否定している。

 今回リリースされたGoogle ChromeはWindows版のみだが、Mac版やLinux版の開発も進めている。今後の展開ついて、同氏はリリース時期を明らかにしなかったが、Google ChromeはデスクトップPC向けに設計されており、AndroidではGoogle Chromeを提供しない見込みであるとしている。

 同氏は、「自動車を購入するなら何台も試乗するだろう。だが、Webブラウザではこのような環境が十分に用意されているだろうか。Google Chromeという選択肢が増えることで、Web利用者や開発者の環境が向上することを期待する。最終的にGoogle Chromeが何百万人ものユーザーに支持されるような存在になってほしい」と締めくくった。

過去のニュース一覧はこちら

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -