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» 2008年09月08日 00時00分 UPDATE

スカシカシパン ギザカワユス:口コミを軽く見ていませんか (1/2)

口コミの威力が無視できないという共通認識が生まれている。“しょこたん”プロデュースの菓子パンがそれを証明する。カカクコムも口コミを意識した新サービスを展開。ガートナーのアナリストも今後の情報システム室の新しい役割ととらえている。

[怒賀新也,ITmedia]

この記事はオンライン・ムックCRMの新潮流のコンテンツです。


 コンビニエンスストアのローソンは今年1月、菓子パン「しょこたんプロデュース スカシカシパン」を発売した。文字通り“しょこたん”で知られるタレント、中川翔子さんがプロデュースした商品だ。全国8500店舗で1週間の販売数は50万個に上り、レギュラー商品をもしのぐヒットを飛ばした。現在は販売していないが、シュガーマーガリン味で直径15センチの菓子パンだった。

 この記事では、いまや口コミの威力が無視できないものという共通認識が生まれていることを、価格比較サイトのカカクコムやIT専門の調査会社ガートナージャパンのアナリストへの取材を通じて紹介したい。将来的に、企業の情報システム室の主な仕事は、従来のシステム構築ではなく、こうした消費者動向などを分析する業務にシフトするとの見方も出てきている。

sukashi.jpg ローソンが1月に発売した「しょこたんプロデュース スカシカシパン」。現在は販売していない

 「スカシカシパン ギザカワユス でもじつはウニ」――。2007年4月、中川さんは自身の人気ブログ「しょこたん☆ブログ」で初めてスカシカシパンについて言及した。スカシカシパンは海に生きるウニの一種だ。スカシカシパン科で、大きさは15センチほど。その後も、中川さんはブログで何度か触れ、話題を集めた。

 ローソンはその波に乗る形で、菓子パンとしての商品化を中川さんに提案した。2008年1月、新商品として発売すると発表すると、スカシカシパンに関するブログの書き込みは1週間で262件に上り、1月の発売時には3248件(数字はいずれも、きざしカンパニーの調べ)に急増した。Yahoo!やmixiの検索語ランキングの上位にも挙がった。50万個の購入者には、中川さんのファン層ともいわれる20代女性も多かったようだ。

 ブログで話題の出来事をランキング表示するサービスを提供するきざしカンパニーは、この件について次のようにコメントしている。

 「“スカシカシパン”は中川翔子さんのブログで、変わった名前の貝の話題からイラストになり、さらに実際の菓子パンとして商品化されました。話題性とエピソードがブログのネタになりやすかったことが、多くのブロガーに書き込まれた要因の1つであるといえます。身近なコンビニで手軽に買える価格の商品であったことに加え、最近は携帯から書き込めるブログも増えているため、購入してすぐに記事に掲載するといった即時性がブログの伝播力をさらにアップさせました」

 口コミの影響力が計り知れないことを示す1つの例となった。

カカクコムが企業向け分析サービス

 実際に、メーカーがいまや口コミの影響力に最も敏感ともいえるようだ。口コミサイト最大手カカクコムでソリューションサービス部長を務める大堂氏は「メーカーは掲示板に書き込まれた自社製品の不具合情報などにいち早く対応し、ネガティブ情報をポジティブに変えようと躍起になっている」と話す。

 以前は、メーカーの営業部門の多くがカカクコムに否定的だったという。自社製品の欠点などの情報を発信することがあるからだ。だが、いよいよ放置できなくなり、メーカーとカカクコムの関係も「雪解けを迎えつつある」(大堂氏)状況だ。

 そんな中で、カカクコムはメーカーや家電量販店などの企業を対象に、9月から新サービスを開始した。消費者がカカクコムや各種ブログなどで書き込んだ口コミ情報を、テキストマイニングソフトで分析した上で、企業がビジネスに生かせる体系化したデータとして届けるサービスだ。マーケティング、広報、製品開発、リスク管理などの各部門の利用を見込んでいる。

 サービス名は「価格.com TrendSearch」。型番などの分類ごとに価格.comに集まった累計800万件の口コミデータに加え、ブログの書き込みを1日25万件収集し、きざしカンパニーのテキストマイニングエンジンで傾向を分析する。

 例えば、エプソンのプリンター「PM-A840 」に関する分析をしてみる。するとPM-A840 が「年賀状」という言葉とともに語られることが多いことが分かった。さらに、一緒に語られていることが多い製品を調べてみると、キヤノンの「PIXUS MP610」の名前が40件も浮かび上がった。結果として、消費者の多くは「PM-A840を年賀状作成用のプリンターとして考えており、キヤノンのPIXUS MP610と比較検討している」ことが分かる。

 同サービスを危機管理に利用するケースも考えられる。掲示板やブログなどを自動監視し、利用企業の商品に関する話題が急変するなど風評被害の恐れがある場合に、電子メールによるアラートを配信する機能を提供する。掲示板や口コミを常に監視し続けることは難しいため、利用企業にとっては危機管理対策実施における強い味方になると考えられる。他の分析サービスと比較した優位性は「ブログだけでなく、カカクコムのデータ分析結果を届けられる点」という。カカクコムの掲示板では、各種商品について型番など詳細な切り分けをした上で口コミ情報が書き込まれているため、情報の精度が高いとしている。

 新サービスは、こうしたテキスト分析だけでなく、定量的なデータを提供するのも特徴だ。製品詳細ページのページビュー(PV)数、同一セグメント内のPVシェアや偏差値、口コミ数や口コミシェアなどの定量データを利用企業に提供する。企業は、自社製品が消費者の購買プロセスの中で、どの程度購買対象候補として関心を集めているか、どの程度口コミが広まっているかなどを定量的に把握できるという。

 カカクコムは同サービスを当初はβ版として提供し、追ってバージョン1.0以降のサービスとして展開する。サービス料金は30万円程度から。

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