ブレードサーバでグリーン&仮想化

ブレードサーバがオフィスにやってきた!電源問題、騒音を解決(1/2 ページ)

比較的規模の大きいサーバ統合などで利用されることの多いブレードサーバだが、最近になってオフィススペースに設置可能な製品が登場している。冷却ファンや防音構造の本体ケースにより、執務環境への設置に耐えうる静音性が実現されたのだ。

» 2008年09月12日 08時00分 公開
[大神企画,ITmedia]

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これまではデータセンターへの設置が前提だった

 省スペース・高密度を実現し、トータルの消費電力も削減されているはずのブレードサーバだが、デメリットもあった。高密度ゆえに容積当たりの消費電力量は逆に増え、荷重もラックマウント型のサーバを搭載するより重くなる。そして大容量の消費電力を支えるために、日本のオフィスビルでは一般的でない200V電源のみの対応が多い。また、高密度のブレードから発せられる熱を抑えるために取り付けられた冷却ファンは、高速回転による騒音がひどく、製品によっては「ジェット機のエンジン音」のような音を出す。

 結局、ブレードサーバは設置場所を選ぶことになってしまった。これまでタワー型サーバを置いていたようなオフィスのスミには置けない。ビル内にサーバルームを設置するにも、床荷重と電源が不足してしまう。その結果、データセンター以外の場所に設置することは難しく、ブレードサーバはデータセンターへの設置が前提になっていった。

 とはいえ、データセンターを自前で所有しているのは一部の大企業だけだし、データセンター事業者のハウジングサービスを利用する企業も中堅以上に限られる。とはいえサーバ統合に役立ち、エコも実現するブレードサーバを中小企業やブランチオフィスに導入できないのは、惜しまれることだ。そこでサーバベンダー各社が取り組んだのが、オフィスにも設置可能なブレードサーバだった。

「かんたん」をキーワードに製品化した日立と富士通

 オフィスへの設置をターゲットにした新しいブレードサーバのラインアップを用意したのが日立と富士通だ。

 日立は、同社のブレードサーバ「BladeSymphony」に「BladeSymphony SP」という新しい製品ラインアップを追加した。これは、「BS1000」「BS320」に続く第3のブレードサーバであり、オフィスに容易に導入することをコンセプトとして開発された。「SP」は、「Symple Pack」の略だという。

 同製品の最大の特徴は、静音性だ。ブレードを収納するシャーシを格納した16U相当のハーフラックキャビネットには、前後に独自開発の静音ドアを配置。静音ドアには空気の流れを遮ることなくサーバの動作音だけを減衰するウレタン素材の吸音材が取り付けられており、その音量レベルは図書館並みの約45dB。筆者も実機のデモで確認したが、最初は電源が入っていないと勘違いしたほどの、驚きの静かさだった。

BladeSymphony SPの外観16U相当のハーフラックキャビネットウレタン素材の吸音材 オフィススペースに配置しても違和感の少ない外観(写真=左)、16U相当のハーフラックキャビネットに各コンポーネントを集積(写真=中)、驚異的と表現して差し支えない静音声を実現する吸音材(写真=右)

 オフィスへの設置を想定した100V電源の対応、RAID 6構成のiSCSIストレージやUPSなどをセットにした導入のしやすさも特徴。基本的に機器はラックに収められた状態で出荷されるので、設置時にサーバやストレージをラックに組み込んだり、配線したりする必要はない。ブレードサーバのライフサイクルを考慮し、5年間保守サービスをパックとして用意しているのも、日立らしい。

 富士通も同様に、オフィスでの設置を可能にした「PRIMERGYかんたんブレードセット」を用意している。富士通の場合、既存のブレード、シャーシをそのまま採用しており、日立のように新しい製品ラインアップではない。この点は、従来製品との互換性を重視する富士通のこだわりだ。

 ブレードやシャーシに違いはないものの、静音を実現する低騒音型ラックを2種類用意した。16Uサイズのラックを利用すれば、ブレードサーバの音量レベルを約10dBほど低減できる。前後にファン付きのドアを配置した24Uサイズのラックならば、約20dBの静音効果が得られる。もちろん、100V電源への対応、工場出荷時の組み込みセットアップなど、オフィスで簡単に設置できることが考慮されている。

PRIMERGYかんたんブレードセット 引き出し型コンソールが一体化しているのが便利
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