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» 2008年09月22日 14時00分 UPDATE

戦略プロフェッショナルの心得(3):手強いライバル、成熟市場――あなたならどうする (1/2)

「破壊的技術」がライバル企業に追いつき、追い越すための決定的な武器になる。模倣をしているだけでは自社の戦略が一貫性を欠くことになり、勝ち残ることは難しい。

[永井孝尚,ITmedia]

 戦略の策定と実践は、成功するCRMの原点です。本連載では、ビジネスの現場で戦略を策定し、実施する場合に必要な考え方をご紹介しています。(本連載は「戦略プロフェッショナルの心得――ビジネスの現場で、理論だけの戦略が実行できない理由」からの抜粋です)

 第1回のバリュープロポジション第2回のキャズムに続き、第3回目は、模倣戦略から脱却するための考え方のご紹介です。

 競争が激しい市場でビジネスをしているとどうしても競合他社が気になります。「競合に打ち勝つ」という目標を立て、それを基準に戦略を立案し、行動することもあります。それは正しいことなのでしょうか。

 確かに競合企業の動きは気になりますが、もし戦略の軸足を競合企業に置くと、戦略が競合企業の出方次第で変わってくるということになります。こうなると戦略の首尾一貫性を失い、場当たり的な行動になる可能性もあります。

 では、何を考えるべきなのでしょうか?

 企業の目的は顧客の課題解決です。最優先に考えるべきことは「顧客のニーズと、私たちが提供できる価値」です。「顧客のニーズ」と比べると競合他社の動きは必ずしも優先するべきものではありません。

 顧客のニーズを捉え、彼らの課題を解決するのは攻めの姿勢ですが、競合企業の出方を見るのは受け身です。競合企業だけを見ていると、自分自身がどうあるべきかを見失ってしまう危険性があるのです。

 まず顧客の課題をいかに解決し、価値を届けるかを考え、その上で、顧客に提供できる価値を競合企業と比較するべきです。バリュープロポジションも同様に、顧客に対する価値を最初に考えるべきでしょう。

 とはいえ、実際のビジネスでは、競合企業のことを考えざるを得ない状況に多く出会います。例えば、同じ市場に、過半のシェアを持つ強力な競合企業がいたとします。強さの理由は、製品が極めて強かったり、マーケティングが巧妙だったり、営業力が強かったり、販売網が強力だったりとさまざまです。

 この市場は成熟しており、大きな成長は望めません。「撤退する」という選択肢がない場合、あなたならどうしますか。

 わたしも仕事で、このような課題に直面することがあります。競合企業を上回る機能を持つ製品の開発に投資したり、販売パートナーに対してより高い報奨金を出したり、多額のマーケティング予算で積極的なマーケティングを実施したりという方法もあるかもしれません。

 しかし、これらは、いわゆる「模倣戦略」です。

 既に過半のシェアを握っている競合企業に対して、同じ土俵で、相手と同じ方法で、大きな努力をしても、シェアを挽回することは困難です。時間もコストも掛かります。企業に長期間の継続投資に耐えられる体力がある場合は別として、多くの場合は、投資に見合いません。

 その理由は、規模の経済によって、競合企業は、より低コストで既に高い利益を享受しているからです。われわれと同様に努力も続けています。

 では、どのようにして市場を攻略すればよいのでしょうか。

 解決するための1つの鍵は、ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が著書『イノベーションのジレンマ』で述べている「破壊的技術」を活用することです。

 破壊的技術とは、当初は既存の製品や技術と比べてパフォーマンスが低いために、既存の市場の顧客の要求は満足できないものの、「コストが極めて安い」などの特徴により従来とは異なる顧客層に受け入れられ、市場に徐々に浸透し、最終的には既存市場で主流となっている製品や技術も駆逐してしまうような革新的技術のことです。

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