Microsoft、「Visual Studio 10」の概要を明らかに多数の機能強化

MicrosoftはVisual Studioの次期版について説明し始めた。製品のコンパクト化、マルチコア/並列プログラミングなどの最新プロセスのサポート、WPFのサポートの強化、Microsoft Live Meshやインスタントメッセージングのサポートといった機能強化が盛り込まれるという。

» 2008年09月24日 16時10分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは、Visual Studioの次期版の内容を少しずつ明らかにし始めた。同製品はこれまで「Visual Studio 10」(VS10)と呼ばれていた。

 ZDNet記者のメアリー・ジョー・フォーリー氏は自身のブログの中で、Microsoft技術者のジェフリー・シュリマー氏のブログ記事を紹介するという形でVS10について記している。シュリマー氏は9月15〜16日にワシントン州レドモンドのMicrosoft本社で開かれた「VSX Developer Conference」に出席した。

 VSXというのは「Visual Studio Extensibility」を表す。VSX Developer Conferenceでは、Visual Studioプラットフォームチームの製品ユニット主席マネジャのパラメシュ・バイディヤナサン氏とアーキテクトのリコ・マリアニ氏が、Visual Studioに関する両氏の見解と長期的目標について述べた。

 Visual Studioチームの理論的指導者である両氏のキーノートスピーチによると、VS10には4つの主要なテーマ、あるいは「売り」がある、とシュリマー氏は述べている。4つのテーマとは、「エクスペリエンス」――Visual Studioを開発者にとってお気に入りのアプリケーションにする、「顧客」――特定の顧客ニーズにフォーカスする(このリリースでは中堅・中小企業の開発者)、「プラットフォーム」――最新のプラットフォーム技術をベースとする(このリリースでは2009年の技術)、「アーキテクチャ」――インフラ改善に向けた数多くのステップの第一歩を踏み出す、である。

 両氏はさらに、VS10に盛り込まれる予定の機能、そして「後で」提供される欲しい物リスト項目になる可能性が高い機能も明らかにした。

 アーキテクチャに関しては、VS10は拡張性がさらに高くなる。VS10の新機能には、高い粒度の拡張性を備えたWindows Presentation Foundation(WPF)ベースのテキストエディタ、マネージドコード用のMicrosoft Extensibility Framework(MEF)――Component Object Model(COM)とも呼ばれる――、複数言語をサポートする新機能などが含まれる。

 シュリマー氏によると、拡張性に関連する機能で「後」のカテゴリーに含まれるのは、マクロなどのエンドユーザー向けの拡張機能として採用されるVisual Studio Tools for Applications(VSTA)、マネージドコードに組み込めことができるアドインの追加、共通のプロジェクトシステム、ディスカバリー/アクティベーション/マニピュレーションのタイプとプロトコルの拡充、同期型の拡張/可視化モデルなどだという。

 さらに同氏によると、Visual Studioチームの両プレゼンターは、VS10は「倹約と拡張性」を特徴とすると語った。すなわち、スモールフットプリントでありながら、中〜大規模のソリューション開発に重点が置かれるのである。そのほかの特徴としては、Visual C++のパフォーマンスと拡張性に関連するMSBuildの改良、C#とVBのプロジェクトシステムにおける2次アルゴリズム消去のサポート、拡張性を改善する新エディタ、Visual Studio 2008よりも小さいフットプリントなどがある。

 将来版のVisual Studioでは、UIエレメントの遅延処理をサポートするほか、拡張可能な共通プロジェクトシステムや、各言語サービスに共通の低レベルストレージを備える、とシュリマー氏の記事は述べている。

 一方、VS10リリースでは、WPFのサポートも強化するほか、複数モニタと複数コアがサポートされるなど、さらなる「現代化」が図られるという。開発者は、モジュラー性の高いWPFベースのルック&フィールを備えたシェルを利用できるようになる。そして将来版では、全面的なWPFシェルがサポートされ、すべての新機能でWPFが利用できるようになるため、斬新なコードビューが提供される。並列フレームワークの本格的な利用もサポートされ、マルチコアハードウェアを有効活用してVSの応答性を高めることができる、とシュリマー氏は記している。

 VS10のヘルプシステムではLive Searchが利用され、コミュニティーレーティングシステムとも連携する。複数のマシンを使用する開発者は、Live ID/Meshを使って同期化することができる。また将来的には、IBMのコラボレーティブ開発環境「Jazz」と同様、チーム開発エクスペリエンスの機能の一部としてインスタントメッセージングをサポートし、複数ユーザーによる共有ソースの編集も可能になるという。

 なおMicrosoftでは、VS10のリリース時期を明らかにしていない。

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