コラム
» 2008年10月02日 11時45分 公開

闘うマネジャー:ダウンサイジングに8年、その背景と理由 (1/2)

安易なシステムのダウンサイジングはコスト増に陥る結果になりやすい。次世代にしっかりと受け継がれるものを構築する必要がある。

[島村秀世(長崎県CIO),ITmedia]

ダウンサイジングの本質

 前回は、一般的に行われているダウンサイジング現状を、筆者の視点で書いたが、今回は長崎県庁におけるダウンサイジングについて書いてみたい。

 長崎県庁では、ダウンサイジングを平成17年度にスタートし、平成25年度当初に汎用機撤去というスケジュールだ。8年もかける長期スケジュールで行っている。「長すぎる」との非難の声が上がりそうだが、8年もかけるのには理由がある。それは以下のような目標があるからだ。

  • 法改正などによるシステム改修は別として、保守費ゼロの体制としたい。
  • 地場企業によるダウンサイジングを実践したい。
  • システム上の業務知識を次世代へと受け継がせたい。

 理由を説明する前に、他県のダウンサイジングを検証したい。

 県によってさまざまではあるが、10〜15年くらい前までは、県税システムも財務会計システムも、汎用機上で県職員が開発を行い運用してきた。しかし、「専門的過ぎ、職員が開発するのは効率的ではない」との理由から、ベンダーに任せる体制へと切り替わった。しばらくして、人事異動で担当者が入れ替わり、汎用機のリプレース時期が来ると、こんな声が上がった。

  • 汎用機上のシステムの保守費用は、高価と言わざるを得ない。パッケージの導入を検討すべきではないか。
  • AM9:00〜PM4:30までと利用時間に制限がある汎用機は不便である。クライアント・サーバ型のオープン環境に移行し、いつでも利用できるようにすべきではないか。

 結局、汎用機削減の機運とも相まって、パッケージを用いたクライアント・サーバ型へと移行した。

 これが、先行自治体のダウンサイジングの実態なのだが、結果は惨憺たるものと言わざるを得ない。まとめると以下のようになる。

  • 業務システムを理解していた職員が、定年もしくは定年直前を迎えてしまい、システムのことはベンダーに「おんぶにだっこ状態」となった。
  • 制度改正に伴う改修費は、汎用機の頃に比べ下がったが、パッケージ本体およびミドルウェアの保守費が加わった。ハードの共有もない。結果、クライアント・サーバ型に移行したシステムの総運用費用は、汎用機を利用していた頃の総運用費用を上回るようになった。
  • システムごとにベンダーが異なるため、システム間の情報連携は運用でカバーするしかなくなった。
  • まだ使えるパッケージなのに、「サポートしない」と言われるため、新パッケージへの移行が強要されるようになった。

 結構、やばい状態である。今はまだないと思うが、「入力欄に、こう数値を入れたから税額がこうなりました」となりそうなのだ。自分の税額がおかしいと思って問い合わせした時にこんな言葉が返って来たら、「ちゃんと説明しろよ。おまえら、それでも公務員か!」とどなりたくなるだろう。

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