Visual Basicの指導者がMicrosoftの「Oslo」チームに移籍

Visual Basic(VB)の主席アーキテクトのポール・ビック氏が、Microsoftの広範なソフトウェアモデリング構想である「Oslo」プロジェクトに移籍する。Microsoftにとって、Osloは.NETに匹敵する巨大なプロジェクトになるという見方もある。

» 2008年10月02日 14時02分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftでVisual Basicを統括する主席アーキテクトのポール・ビック氏が、宣言型言語「Oslo」の開発プロジェクトに移籍する。これは、Microsoftのモデリング戦略であるOsloが、同社の開発戦略の将来にとっていかに重要であるかを示す動きだといえそうだ。

 Visual Basicはおそらく最も人気が高いMicrosoftの言語であり、多数の開発者を輩出する役割を果たした。Visual Basicがなければ、これらの人々が開発者となって実際にコードを書くことはなかったかもしれない。Microsoftの本源的な開発技術であるVisual Basicは、GUIアプリケーションの素早い開発を可能にする。

 ビック氏がVB開発チームの責任者という地位を離れ、Osloプロジェクトに参加するという動きには重要な意味があるようだ。既にOsloチームはMicrosoftのトップクラスの開発者を集めており、ビック氏の参加で同グループの陣容はいっそう充実することになる。Osloプロジェクトの関係者によると、MicrosoftがOsloに移行するのは、同社が数年前に.NETに移行したのに匹敵する大きな動きとなるかもしれないという。

 10年以上にわたってVisual Basicの開発に携わり、Visual Basicに関連したMicrosoftの幾つかの特許にも自身の名前が記されているビック氏は、ブログ記事の中で次のように述べている――「わたしは変わるべき時が来たのだろうか、と自問した。そして、この問題についていろいろと考え、多くの人々と話をした結果、変わらなければならないという結論に達した。Visual Basicに携わるのは楽しかったが、これまでやってきたのとは違うことをする必要があると感じた」

 Microsoftのコネクテッドシステム部門のパートナーアーキテクト、ドン・ボックス氏は自身のブログで、「ポールはわたしのチームに参加し、Oslo言語の開発に携わることになった。この赤ん坊を生み出す手助けをすることにポールが同意してくれたことを、わたしは言葉に言い表せないほど喜んでいる」と述べている。

 Oslo言語は、Microsoftが「D」というコードネームで開発を続けてきた新しい宣言型プログラミング言語である。Microsoftは10月に開催される「Professional Developers Conference」(PDC)で、同言語ならびにOsloツール/リポジトリのプレビューを予定している。

 自身の将来計画についてビック氏は次のように記している。

 「わたしの次の挑戦については、現段階では言えることはあまり多くない。頭の中で幾つかの個人的なアイデアを温めており、多少の時間をそれらに費やすつもりだが、わたしの日々の仕事は、ダグラス・パーディー、ドン・ボックス、クリス・アンダーソンなどの仲間と一緒にOslo製品を開発することになる」

 ビック氏はOsloチームに移籍するが、今後もVBコミュニティーにかかわるつもりだという。また今度のPDCでは、VBに関する基調講演も行う予定だ。

 「物理的には、わたしはほかのチームに移るけれども、多くの意味において、わたしはどこにも行かない」とビック氏は語る。「わたしは“Visual Basic名誉デザイナー”という肩書きを身に付けるつもりだ。言い換えれば、わたしはもはや主要開発者としての責任を担うことはないけれども、今後もVB言語設計プロセスに参加し、VB言語規格が完璧で最新の状態に保たれるよう努力を続けるということだ」

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