日本オラクルが好業績でも危機感を募らせる理由Weekly Memo(1/2 ページ)

日本オラクルが9月30日に発表した直近の四半期決算は好業績だった。にもかかわらず強い危機感を持った同社は、新たな事業変革計画を打ち出した。その理由とは――。

» 2008年10月06日 11時48分 公開
[松岡功ITmedia]

増収増益でもピリピリムード

 「中期経営計画なんてのん気なことを言っている場合ではなくなった」

 日本オラクルが9月30日に行った2009年5月期 第1四半期(2008年6-8月)の決算発表会見に臨んだ遠藤隆雄 代表執行役社長兼CEOは、今後の戦略を説明する前にこう切り出した。6月1日付けで現職に就任した同氏は、かねて第1四半期終了後をめどに中期経営計画を策定すると明言していたが、冒頭の発言が飛び出すほど危機感を募らせている理由はいったい何なのか。

 同社の第1四半期決算をみると、売上高は前年同期比11.6%増、営業利益は同3.3%増、純利益も同2.8%増と、増収増益を記録。景気の後退色が強まる中でのこの結果は、好業績といっていい。同社の経営新体制は順調にスタートしたといえるが、遠藤社長はそんな楽観ムードを打ち消すようにこう説明した。

 「第1四半期決算をみると、経営基盤を示す数字は良く見えているが、新規ライセンス販売を主力とするソフトウェアプロダクトの売上高が堅調に推移していない結果となった。この傾向が続くとサポート・サービスにも悪影響を及ぼし、ひいては経営基盤を揺るがしかねない」

 遠藤社長がこのように危機感を募らせているソフトウェアプロダクトの決算状況をみると、データベースとミドルウェアの売上高が前年同期比0.5%減、ERPやCRMなどのビジネスアプリケーションが同10.3%減、これらを合わせたソフトウェアプロダクト全体では同2.2%減と、確かにマイナス成長となっている。

オラクル 2009年5月期 第1四半期の決算発表会見に臨む日本オラクルの遠藤隆雄 代表執行役社長兼CEO

 中でもビジネスアプリケーションの落ち込みが大きいが、野坂茂 執行役専務兼CFOによると「第1四半期に計上予定だった数件の契約が、第2四半期以降にずれたことが響いた」という。その数件の契約が予定通りに計上されていれば、ソフトウェアプロダクト全体でも前年同期比プラスになったようだが、それはそれとして、遠藤社長は微減ながらも将来的に経営基盤を揺るがしかねないソフトウェアプロダクトのマイナス成長を重く見た。

 そこで、その対策を中心とした今後の戦略として打ち出したのが、「オラクルジャパン・トランスフォーメーションプラン」である。

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