インタビュー
» 2008年10月08日 08時00分 UPDATE

情報システムは「所有」から「利用」へ:Webメディア6人の編集長がIT業界の将来を議論 (1/9)

10月中旬の「ITpro EXPO 2008 Autumn」を前に、ITmedia Enterpriseや@IT、ITproなど国内のIT系ネットメディア6誌の編集長がディスカッションをした。テーマは「クラウド」。今後の情報システムの方向性を占う。

[ITmedia]

 10月中旬の「ITpro EXPO 2008 Autumn」を前に国内のIT系ネットメディア6誌の編集長がディスカッションを行った。IT業界を取り巻く変化と、ネットメディアの変化について、ディスカッションしようと日経BP社が呼びかけ、各メディアがそれに応じて実現した。ITmediaエンタープライズも優れた出展製品やサービスを対象にアワードを提供することになっている。

main.jpg Webメディア6人の編集長による座談会。@ITの三木編集長はSkypeで参加した

 参加した編集長は、メディア名順で以下の通り。@IT編集長の三木泉、builder編集長の冨田秀継氏、CNET Japan編集長の別井貴志氏、ITmediaエンタープライズ編集長の浅井英二、エンタープライズ・メディア統括 兼 ZDNet Japan編集長の大野晋一氏。そこにITpro編集長の三輪芳久氏が加わった。なお、参加した6編集長のうち、@ITの三木編集長は米ラスベガスからSkype音声での参加となった。司会は、ITpro発行人の林哲史氏が務めた。

林哲史氏(司会 ITpro発行人) 今日は、大きく2つのテーマで議論しようと考えています。前半では、IT業界の変化について3つの話題を取り上げたいと思います。1つはクラウド・コンピューティングの台頭です。持つのではなく借りる、という発想です。もう1つは携帯電話です。iPhoneやAndroidなど、新たなデバイスが登場しています。3つめは、サービスやソフトが無料で手に入る状況についてです。

hayashi.jpg ITpro発行人の林哲史氏

 後半では、せっかくネットメディアの人が集まっているので、ネット・メディアそのものについて議論したいと思っています。例えば、ブログやSNSのような新しいメディアと、私たちのように職業としてやっているプロとの違い、私たちメディアは今後どうなるのかなど、少しメディア論に近くなりますが、こうした話ができればと思っています。

クラウドが急浮上

三輪芳久氏(ITpro編集長) 2008年1月に『ITpro Magazine(2008年春号)』を刊行した際、日経BP社の編集長を集め、2008年はどんなキーワードが話題になるのかを予想しました。ところが、その時点では、わたしも含め、誰もクラウドの名前を出せませんでした。クラウドという言葉は2007年後半から少しずつ出始めていましたが、2008年春ごろから急に注目を浴びるようになった印象があります。

miwa.jpg ITpro編集長の三輪芳久氏

 それから6カ月ほどしか経過してませんが、現在手掛けている新しいITpro Magazine(Vol.2 2008年秋号)では、クラウドを第1特集で取り上げました。その特集のタイトルには悩みましたが、最終的には「IT史上最大の変革、クラウド台頭」にしました。少しあおった感じですが、それくらい業界にはインパクトがあると考えています。

三木泉(@IT編集長) 今、仮想化のイベント「VMworld 2008」に来ているのですが、こちらでもクラウドの話が出ています。わたしも最近は、この分野に興味を持っていろいろと取材をしています。ただ、クラウドという言葉は、人によって定義が異なるので、定義をはっきりさせる必要があるかも知れません。わたしは、ユーティリティコンピューティングの意味で使いたいと思っています。これは、サーバ仮想化とは切っても切り離せません。

 そしてもう1つ大切なことがあります。クラウドの提供者についてです。米Amazon.comのような会社だけではないはずです。システムインテグレーターがクラウドを始めるかもしれないし、情報システム部門や情報システム子会社が、社内や親会社のユーザーのためにユーティリティコンピューティング的なサービスを始めるかも知れません。こうした動きによって、ITインフラに対する投資や運用の在り方が、ずいぶんと変わってくると思います。

浅井英二(ITmediaエンタープライズ編集長) 三木さんは今、クラウドをリソース(資源)やインフラの側面でとらえました。もちろん賛成ですが、もう1つの側面を言うと、クラウドというのは、リソースやインフラが雲の向こうに隠れることを意味してるのではないでしょうか。利用者がリソースやインフラの面倒なことについて気にしなくてよくなる、ということでもあります。

 ユーザーや企業からクラウドがどう見えるのかというと、1つはサービス化という流れによって生まれるさまざまなサービスです。もう1つは、コンテンツがそこから降ってくるということです。この2つが、ユーザーから見える姿だと思います。逆に言うと、クラウドが企業の外部にあろうが内部にあろうが、ユーザーには関係なく、見え方としてシンプルになっていく気がします。

asai.jpg ITmediaエンタープライズ編集長の浅井英二

三木 1つ付け加えさせていただくと、クラウドというと、SLA(サービス・レベル・アグリーメント)が予測できないんじゃないか、見えなくなるんじゃないか、というような話になりがちです。逆に言うと、クラウドのようなサービスを、SLAをしっかり確保した上で提供できる会社が信頼されるし、ビジネスとして成功していくと思います。サーバ仮想化などの技術を使ってSLAを確保すれば、それによってビジネスが成り立つということです。

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