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» 2008年10月09日 03時32分 UPDATE

計る測る量るスペック調査隊:無線LANの実パフォーマンスを測定せよ【中編】 (1/2)

無線LANの伝送速度は、なぜ規格どおりの速度で通信ができないのだろうか? その3つの理由を探る今回の調査。中編ではメディアアクセス制御の違いが与える影響について調査する。

[東陽テクニカ,ITmedia]

メディアアクセス制御の違い

フレーム送信の基本手順 図1 フレーム送信の基本手順

 LANの仕様では、伝送媒体(メディア)や信号の電気的特性、伝送速度、フレームフォーマットなどのほかに、フレームの送受信方法も規定されている。無線LANでは受信したフレームに対してACKが要求されることは先に述べたが、これもその一種である。このような仕様は「メディアアクセス制御(Media Access Control:MAC)」と呼ばれている。

 イーサネットも無線LANも、基本的にメディアは複数のノード*で共有され、どのノードも送信する権利を対等に持っている(Multiple Access)。また、あるノードがフレームを送信しているときには、そのノードが伝送媒体を占有し、ほかのノードは送信できない。

 フレーム送信の手順を非常に大ざっぱに言うと、イーサネットでも無線LANでも「早い者勝ち」である(図1)。ノードがフレームを送信しようとしたときに、ほかのノードがフレームを送信中であれば、そのノードが送信を終えるのを待ち、メディアが空いたら送信を行う。メディアが空いているかどうかは、ほかのノードによる送信の有無を聞くことで判断する(Carrier Sense)。また、運悪く複数のノードが同時に送信を開始するとフレームの衝突(コリジョン)が発生し、フレームは壊れる。

 イーサネットと無線LANのMACではこの基本となる手順は同じだが、コリジョンに対する対応方法が異なっており、イーサネットではCSMA/CD*、無線LANではCSMA/CA*と呼ばれる方式が利用されている。

 イーサネットの場合、各ノードは送信中でもメディアが空いているかを調べることができる。そのため、送信中に受信が確認されたらコリジョンが発生したと見なし、フレームの送信を直ちに停止し、バックオフ*処理の後に再送する。イーサネットは確実にコリジョンの検出(Collision Detection)ができるため、CSMA/CDはコリジョンを前提とした仕様といえる。

 一方、無線LANでは基本的にノードは送信しながらメディアを調べることができない。従って、イーサネットと同じようにコリジョンが発生することを前提とするわけにはいかない。そのため、コリジョンを回避(Collision Avoidance)するためのバックオフ制御を行う。フレームを送信しようとするノードは、フレーム間隔+ランダムなバックオフ時間だけ待機してメディアが空いていることが確認された後、フレームの送信を行う。これにより、仮にフレームを送信しようとするノードが複数存在しても送信を開始するタイミングがずれるため、コリジョンが発生する可能性は非常に低くなる。


CSMA/CDとCSMA/CA 図2 CSMA/CDとCSMA/CA

 CSMA/CAではイーサネットと比較した場合、図2のようにバックオフ時間によってフレームとフレームの間隔が長くなる。例えば、100BASE-TXであればフレーム間隔の0.96マイクロ秒待てば次のフレームを送信できるが、IEEE802.11a/gでは実質的なフレーム間隔が100マイクロ秒前後になってしまう。従って、イーサネットと比較してフレームの存在しない時間が長く、結果として単位時間当たりに伝送できる情報量は少なくなってしまう。

 今回の実験では、このフレーム間隔の差が送信できる実際のフレーム数にどの程度効いてくるのか、単位時間内に送信できるフレーム数を測定することで調べてみよう。

このページで出てきた専門用語

ノード

ネットワークに接続されている端末のこと。無線LANでは「ステーション」とも呼ばれるが、本稿ではすべて「ノード」で統一している。

CSMA/CD

Carrier Sense Multiple Access with Collision Detectionの略。

CSMA/CA

Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidanceの略。

バックオフ

コリジョンが検出された場合に、次のデータを送信するまでランダムに設定された時間だけ待機すること。


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