コラム
» 2008年10月09日 11時14分 公開

職場活性化術講座:リーダーは「ストーリーテラー」であれ (1/2)

リーダーシップを発揮するには、結局は人の心を動かすことが基本となる。そのツールとして「ストーリー」がある。

[徳岡晃一郎,ITmedia]

メンバーの自発的行動をうながす

 前回は、コミュニティー開拓者としてのリーダーシップ・コミュニケーションの役割について、「意義構築者」の観点から考えてみた。今回はその続きとして、「ストーリーテラー」の観点をみてみよう。これらのコミュニケーションをこなすことで、リーダーであるあなたは、職場をみなが生き生きと働けるコミュニティーに変えることができる。

 リーダーが職場のメンバーを動かしていく際に、権限や指揮命令系統、業務上の目標、役割分担や責任、スケジュール、評価指標の明確化などが必要である。これらは最低限必要な約束事だが(ただし、これらが以外にできていなかったりもする)、これだけではメンバーは職場にコミュニティーを感じ、自ら自律的意欲を持って動いていくとは限らない。むしろ、義務だから、責任があるから、そう言われているから、ということが動機になってしまう。

 リーダーは、より自発的な行動を促すために、メンバーがこの仕事に気持ちを込められるような舞台設定をすることが大切だ。それがストーリーテリングだ。

 「リストラが必要で、今ここで社員を30%減らし、事業部を閉鎖しないと、今後の当社の存続は危うい。だから、人員が減る中ではあるが、各自、再建計画の中で示された各目標を持ち場、持ち場で確実に実行してほしい」というように、トップや上司は事実や要求を淡々と伝える場合が多い。しかしこれではリーダーの気持ちを込めたメッセージにはならない。

 必要なことを淡々と伝えれば、社員は素直に聞くという誤解がある。それに対して、むしろお話として語るとどうなるだろうか。例えば、

 「今、当社は危急存亡の危機に直面している。これはあたかも戦後の混乱期のような深刻さだ。その当時、各社が続々と倒産に追い込まれる中で、わが社は多くの犠牲を払いながらも、みなが団結して生き残った。時代は変わったがその時のV字回復のDNAは、まだ当社には脈々と流れている私は信じている。そのような不屈の精神が流れているからこそ新商品を次々に生み出し、わが社は日本で最もクリエイティブな会社というイメージを確立できたからだ。今このときに、私はもう一度みなさんにその力をふり絞り、集中的に発揮してほしい。どんなしがらみにもとらわわれることはない。これまでできなかったことに手をつけてほしい。そうした努力の暁にこそ今回の再建計画は達成される。そして日本のクリエイティブの灯を点し続けよう。そのときにはみなでV字回復を祝い、わが社の歴史の一コマを塗り替えた生き証人として、勇気を讃えあおう」

 このように、たとえ話や英雄伝説、昔語り、戦闘シーン、宝探しの旅、人類を救う旅路などのテーマを用いて、リーダーの気持ちや自らの覚悟、決定の背景などを訴え、各メンバーに物語の中での主人公や登場人物になってもらうわけだ。

また、簡単な例え話も効果的だ。その際には、

  • 自社のプロジェクトX的な事例
  • 他社の類似の事例
  • 海外の他社の有名な事例(最近ではアップルやグーグルなど)
  • 自分の過去の経験
  • 歴史上の事例や人物の発言(ガリレオ、ニュートン、チャーチルなど)
  • 誰かに語らせる。「こういう人に会った。その人はこんな人で・・・、その人が言うには・・・
  • 実録風に語る。「聞いた話なのだが、・・・」

などの手法がある。

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