GoogleとMicrosoftはそれぞれ、コンシューマーと企業に対して互いに大きく異なるビジネスモデルを開発したが、両社は世界のクラウドコンピューティングインフラが今後10年間でどのように発展するかをめぐって衝突しようとしている。クラウドの覇権をめぐる両社の戦いの行方は不透明だ。
向こう2年間のクラウドコンピューティングインフラの拡大をめぐり、世界最大かつ最強のIT企業2社――GoogleとMicrosoft――が、この種のコンピューティングのルック&フィールにおいて大きく異なるモデルを開発するために資金とリソースを投入している。
GoogleとMicrosoftが検索と広告以外の分野で衝突しようとしているのは驚くに当たらないが、フロリダ州オーランドで開催された「Gartner Symposium/ITxpo」カンファレンスでは、クラウドおよび各種のアプローチに対する両社の姿勢が話題になった。
基本的に、クラウドコンピューティングは、顧客のアプリケーションをサードパーティーのベンダーにサポートしてもらうことを可能にする。これらのアプリケーションは、インターネットを通じてユーザーに提供される。Amazon、Google、Microsoftなどの企業では、それぞれの社内のアプリケーション専用のクラウドコンピューティングインフラを開発することもできる。
クラウドはまだ定義にあいまいな部分が残っている分野だが、GoogleやMicrosoftが開発しているような技術は、企業やコンシューマーがそれぞれのニーズに応じてクラウドを利用する方法を変える可能性がある。クラウドの将来をめぐるGoogleとMicrosoftの衝突の背景には、両社が開発したビジネスモデルの違いがある。Microsoftは主として企業分野で事業を展開し、OSやOfficeスイートなどの製品で現在の評価を築いたのに対し、Googleはコンシューマー分野にフォーカスし、広告収入によって検索技術の改良を進めてきた。
Gartnerのフェロー、デビッド・スミス氏によると、Microsoftは社内クラウドと社外クラウドの両方の分野で有力な企業になることを目指しているという。社内クラウドは、企業が自社のアプリケーションとコンピューティングリソースをサポートするために構築するもので、社外クラウドは、AT&Tなどのサードパーティーのサービスプロバイダーが開発するものだ。
「Microsoftの場合、両方のモデルを活用する一種のハイブリッド方式で社内クラウドと社外クラウドをサポートするのが目標だ」とスミス氏は話す。
「つい最近まで、Microsoftのソフトウェア、特に企業向けソフトウェアのほとんどすべてが、クライアントベースかオンプレミス(社内保有)型ソフトウェアだった。しかし彼らは、その多くをクラウド製品に徐々に移行させている」(同氏)
スミス氏によると、こういった戦略転換の証拠となるのが、Microsoftが市場に投入した(あるいは投入予定の)数々の新製品だという。例えば、Microsoft Dynamics CRM OnlineやLive Mesh、そして「Oslo」や「Titan」などのプラットフォームである。
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