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» 2008年10月27日 08時00分 UPDATE

アナリストの視点:クラウドとSaaSの位置関係を解き明かす (1/3)

今年に入りSaaSという概念がこれまで以上に注目を集めている。本連載ではクラウドコンピューティングという概念から、SaaSのメリットや本質を読み解き、その将来像を描き出してみる。

[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

 SaaS(サービスとしてのソフトウェア)というキーワードがこれまで以上に注目を集めている。また、AmazonやGoogleなどの主要ネット企業はクラウドコンピューティングへの取り組みを推進している。このようにインターネット経由でさまざまなサービスを企業が自由に使うという動きが出始めている。

 本連載では、SaaSやPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)、クラウドコンピューティングといった切り口を基に、SaaSを提供する側の最新事情やユーザー企業の意識調査を交えながら、SaaSの将来像を描き出す。3回の連載の中で、SaaSのメリットやその本質を言及する。

SaaS、PaaS、クラウドの定義を明らかにする

 ノークリサーチではSaaS、PaaS、そしてこれらを発展させた「XaaS」という言葉を以下のように定義している

  • SaaS

 ベンダーが所有するアプリケーションを、ユーザーがネットワーク経由で利用するというアプリケーションの提供形態。カスタマイズの実現度やユーザービリティの高さ、マルチテナント技術の応用といった観点で、従来のASP(ソフトウェアの期間貸し)とは区別される。

  • PaaS

 SaaSによるアプリケーション利用だけでなく、その実行基盤上に配置されたアプリケーション開発環境をインターネット経由で利用し、独自のアプリケーションを開発、運用できる基盤を提供するSaaSの発展形態。

  • XaaS

 OS、ミドルウェア、アプリケーション、ストレージ、CPU処理能力など、情報処理システムを構成する要素(コンピューティングリソース)を、インターネット経由のサービスとして展開するモデル。

 つまり、SaaSはアプリケーションの「利用」、PaaSはアプリケーションの「開発」、XaaSは「情報処理システムを構成する要素全般」を指す。サービスとして提供する対象が広がっていることが分かる。特にXaaSとして提供される各種サービスは大規模の場合が多く、さまざまな技術を駆使して多数の顧客をカバーできる大量のコンピューティングリソースを持っている。

 すると、これまで自社で運用していたコンピューティングリソースの一部をXaaSとして利用する方が、増大するデータ量やアクセス負荷に柔軟に対応できるという考え方が生まれてくる。これがクラウドコンピューティングにつながる発想である。

 ノークリサーチでは、クラウドコンピューティングを、インターネット上でサービスとして仮想的に提供されるハードウェア、ソフトウェア、開発環境などのコンピューティングリソースを土台として、自身が必要とする情報処理システムを構築・運用すること――と定義している。

 クラウドコンピューティングとXaaSは、ハードウェアからアプリケーションまでのコンピューティングリソースをサービスとして提供するという点では似ているが、厳密には異なった概念といえる。

クラウドコンピューティングの概念図 クラウドコンピューティングの概念図
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