クラウドコンピューティングからSaaSの将来を読み解く本連載。2回目は、SaaSに対するユーザーの本音や、SaaSの不安をクラウドコンピューティングが解消する可能性を明らかにする。
前回はSaaS(サービスとしてのソフトウェア)やPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)、クラウドコンピューティングなどの定義を明らかにし、クラウドコンピューティングがもたらすSaaSの可能性について言及した。連載の2回目は、それらを利用するユーザー側の意識を、ノークリサーチが8月に実施した調査結果から探っていく。調査対象は年商5億円以上〜500億円未満の中小企業の従業員だ。
SaaSという言葉が登場してから3年余りが経過したが、その間にユーザーのSaaSに対する理解はどれだけ進んだのか。調査結果では、「SaaSという言葉を知っている」と回答したユーザーは40.6%となった。基幹システムを導入している運用管理者に聞いたところ51.3%となった。
ITへのかかわり方で多少の違いは出たものの、SaaSの認知度はおおむね半数程度に上るといえる。今秋には、大手ベンダーがSaaS基盤の提供を開始する。この動きに合わせて、SaaSの認知度も半数強になるものと予想される。
ユーザーはSaaSに何を期待するのか。基幹システムを導入している企業の運用管理者は、システムの構築や運用管理のコスト削減を求めていることが分かる(図参照)。システム構築や運用管理を外部に任せることによるコスト削減をメリットと見ている。
しかし、パッケージをベースとした自社内運用と比べた場合、SaaSのコスト効果が高いとは断言はできない。アプリケーションの種類や利用ユーザー数、利用頻度によってコストは異なる。数年単位で見た場合、パッケージの方が安いコストで済む場合もある。
コスト削減以外のメリットは何か。ノークリサーチでは、(1)運用難易度が高いシステムの外部委託、(2)セキュリティやコンプライアンスの強化、(3)他社との共有で得られるビジネス効果――を挙げている。
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