コラム
» 2008年10月31日 18時51分 UPDATE

伴大作の「木漏れ日」:IBMの新製品に見る日本のメインフレーム市場 (1/3)

日本IBMがミッドレンジメインフレーム「System z10 BC」を発表した。そのデータをもとに、メインフレーム市場の今後の動向を考えてみたい。

[伴大作(ICTジャーナリスト),ITmedia]

 日本IBMがミッドレンジメインフレーム「System z10 BC」を発表した。今回はこれについて解説したい。

にぎやかではなかったメインフレーム市場

 最初に、正直に告白しておかなくてはならない。この10年間、ほとんどメインフレームに興味を持てなかった。UNIXの高性能サーバが売れに売れた、IA-32対応ラックマウント型の価格が著しく低下した、ブレードサーバの登場など多くの要因で高性能独自OSサーバに注意が向かなかったからだ。市場があまりにぎやかとはいえない状況が続いたので、ついおろそかになってしまった。日本のベンダーがこの分野で海外のIBMPCL市場からほぼ撤退したことも大きな理由だ。

 また、高性能サーバとしても地球シミュレータをはじめとして、IBMのBlueJeanとかGRIDコンピュータに注目していたことも大きな要因だ。

 メインフレームイコール過去の遺物、新しい分野では使用されないシステム、というイメージが知らないうちに定着してしまったのかもしれない。

ここまで高性能なマシンが必要なのか

 IBMが今回発表したz10BCは今春発表された、z10 ECと使用しているプロセッサは全く同じだ。中身もそれ程大きな違いはない。

 CPUの数がECは最小構成で12であるのに対し、BCは10。使用しているCPUはECで使用されている64ビット CMOS CISC クアッドコア4.2GHzを、動作周波数3.5GHzに下げただけだ。CPUのクアッドコアも、1つのコアは使用していないとの説明があった。これはECが冷媒を使用しているのに対し、BCは完全な空冷で、主に発熱対策が目的だとした。

 これだけの構成のCPUを使用しているため、処理性能は、2760MIPSに達する。

サーバ統合?

 IBMの真の狙いは、日本固有のメインフレームベンダーの駆逐ではなく、オープン系サーバを「z」で統合するのが目的ではないだろうか。「HP-UX+オラクルDB」の移行はどうなのかという質問に対し、日本IBMの担当者は即座に移行は簡単だと答えた。

 わたしは以前のコラムでItanium搭載ハイエンドサーバの将来性に疑問を投げ掛けた。この弱点をIBMは見事に突いてきた。このマシンの最大のターゲット市場はHP-UXを搭載したサーバ製品、つまりHPとNECのサーバ製品ではないだろうか。

 もしそうだとすると、BCの市場は思いのほか大きい。

 z10BCが狙うのはとりあえずPA-RISCデュアルコア搭載32ウエイ「HP Integrity rx8640」だろう。この製品の価格はシステム構成によって大きく変わるが、米国での価格は7万4725ドル。(日本での価格は未公表)

z10BCは単体では動かない。当然ディスク装置は最低限必要だ。10TB程度のディスクアレイ装置なら最低でも300万円以上はする。これらのディスク装置の大半はオープン系を想定しているが、そのコストを合計してもやはり安い 。(実際にそれで動作するかどうかは今のところ確かではないが)

 日本HPの広報部に競争力という観点で質問をしたが、同社広報部からは「単純に性能価格比較できるものではないが、発表資料から分かる範囲で、同じような構成なら少なくとも30%程度は安いはずだ」との回答を得た。

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