IBMとSun、IBMメインフレーム用OpenSolarisのプロトタイプをリリース

IBMとSun Microsystemsは、IBMのSystem zメインフレーム上で動作するOpenSolarisのプロトタイプをリリースした。開発にはSine Nomine Associatesというコンサルティング会社が協力した。

» 2008年11月05日 07時30分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 米IBMとSun Microsystemsは、OpenSolaris OSのソースコードをIBMのSystem zメインフレーム上で利用できるようにするという約束を果たした。

 IBMとSunは11月3日、IBM System zメインフレーム上で動作するOpenSolarisベースのプロトタイプコードをリリースしたと発表した。バージニア州アシュバーンを本社とするコンサルティング会社Sine Nomine Associates(SNA)が開発に協力した。3社によると、SNAはIBMから機材と資金の提供を受け、Sunから技術的な支援を受けてプロトタイプを開発したという。

 IBM、Sun、SNAは2007年11月のGartner Data Conferenceで、IBMメインフレーム上で動作するOpenSolarisベースのプロトタイプの初期版のデモを行い、OpenSolaris OSとIBMメインフレームが備えるデータセンター仮想化能力を披露した。

 IBMメインフレームは、OpenSolarisにとって魅力的な環境を提供する。これは特に、IBM System zの信頼性と拡張性を求めている企業に訴求する。

 Sunによると、C/C++で開発された既存のSolarisベースのアプリケーションをSunのハードウェア上で運用している企業であれば、System z用OpenSolarisへ容易に移行できるという。OpenSolarisのベースとなっているSunのSolarisは、金融サービス業界などのデータセンターで広く利用されている。またIBMによると、IBMメインフレーム上の仮想環境内でSolarisを動作させるのは、リソース管理の面でメリットがあるという。

 具体的には、この取り組みは企業ユーザーにとって、エネルギーコストの削減、フロアスペースの節約、ハードウェアの統合、複雑なトランザクションのセキュアな管理といったメリットをもたらすとIBMは説明する。例えば、1台の「IBM z10」メインフレームは1500台のx86サーバに相当するが、エネルギーコストは85%低く、データセンターのフロアスペースも85%節約できるという。

 Sunは2005年、Solaris OSを中心とした開発者コミュニティーを構築するために、オープンソースプロジェクトとしてOpenSolarisを開発した。2008年5月には、デスクトップ、サーバおよびハイパフォーマンスコンピューティング用の配備に対応した単一のディストリビューションがコミュニティーからリリースされた。

 プロトタイプのダウンロードはこちらから。

 IBMによると、OpenSolarisはSystem zメインフレームの「z/VM」上でゲストとして動作する。z/VMは、多数の仮想イメージを同時に実行できるようにする。また、プロトタイプコードのリリースにより、オープンソースコミュニティーの開発者全員がプロジェクトに参加し、移植作業の拡大に貢献できるようになる。

 IBMフェローでシステム/技術グループのチーフテクノロジストを務めるバーナード・マイヤーソン氏は、「われわれとSNAおよびSunとのコラボレーションが、IBMのz/VM用のOpenSolaris OSのプロトタイプの完成という重要なマイルストーンに到達したのをうれしく思っており、オープンソースコミュニティーがこのプロジェクトに積極的に参加するのを期待している」と発表文で述べている。

 一方、SNAのチーフテクノロジスト兼社長のデビッド・ボイス氏も発表文の中で「IBMのSystem zハードウェア用OpenSolaris OSのリリースは、SNAが大規模データセンターの仮想化に関して行った広範な調査の応用範囲を拡大するものだ。すなわち、われわれが最初に行ったIBM System z用Linuxの拡張性に関する研究の成果を拡大するとともに、今日のエンタープライズコンピューティングが抱えている問題に適用できるツールとスキルを拡張するのである」と語っている。

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