Microsoftのレイ・オジー氏、オープンソースやAzureなどを語る(1/4 ページ)

Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクト、レイ・オジー氏は、「Microsoft Professional Developers Conference」においてeWEEKとのインタビューに応じ、オープンソースや相互運用性、ソフトウェアモデリング、Windows Azureクラウドオペレーティングシステムなど、さまざまなテーマについて熱心に語った。

» 2008年11月06日 16時11分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクト、レイ・オジー氏は、ロサンゼルスで開催された「Microsoft Professional Developers Conference」で、多忙を極める中、eWEEKのシニアエディター、ダリル・K・タフとのインタビューに応じた。Microsoftのソフトウェア戦略を統括するオジー氏はその中で、Microsoftのクラウドオペレーティングシステム「Windows Azure」から同社の未来に向けたグランドデザインを明らかにした。

 オジー氏はまた、Azureについて述べただけでなく、オープンソースや相互運用性、ソフトウェアモデリング、ドメイン固有言語などについても詳細に語った。さらにAzureに関しては、オジー氏も責任者として関わっていることをあらためて強調した。

―― Microsoftの相互運用性に対する意識の向上やオープンソースのサポート強化などに対して、あなたがどのくらい影響を与えているのでしょうか?

オジー そういった局面で個人的な影響を切り分けるのは難しい。大規模な組織の場合、そうした変更管理の手法は極めてシンプルです。まずトップが何か言う。そして何かをシンボリックに切り捨てる。次に有能な人材を見つけ、すべてを任せる。組織の上層部にいると、仕事の多くは抽象化され、現場の作業を直接指揮することはほとんどないのです。

 「わたしが提案者なのではないか」と問われれば、確かにその通りでしょう。間違いありません。しかし、相互運用性は相互運用性そのものを目的として提案したのではありません。相互運用性は、顧客が実行し、顧客が求め、顧客が必要としているからにほかなりません。

 Microsoftの一部には、相互運用性に対するアレルギーがありました。というのも、彼らは相互運用性が「強制」や「命令」や「要求」を意味する暗号のようなものだと嫌っていたからです。しかし、わたしの経験から言えば、相互運用性とは人々が望むものであり、必要としているものです。もっと心にゆとりを持たなければなりません。なぜそれほど不安になる必要があるのでしょうか? われわれはMicrosoftです。それでOKでしょう。われわれは幅広く連携していくことができるのです。

 そこで、わたしは全体的な方向性を明確にしようと努めました。“晒し者”にするようなこととは反対のことを社内で実行したのです。つまり、何か好ましい方向に人々の注目が集まるようにしたのでした。ただし、基本的に相互運用性はボブ(マグリア氏、Microsoftのサーバおよびツールビジネス部門上級副社長)のグループが始めたことなのです。

―― 多くの人々がもっとオープンになることを期待する技術の1つに「Silverlight」があります。Silverlightを何らかの形でオープン化する計画はあるのでしょうか?

オジー その「オープン化」とはどのような意味でしょうか?

―― 最低限として「OSP」(MicrosoftのOpen Specification Promise)で公開するといったことです。

オジー Silverlightはつい最近、Monoのソースコードになりました。「Moonlight」です。それはミゲル(デ・イカザ氏、Monoプロジェクトを主導し、Linux上でSilverlightを実行するMoonlightの開発を進めている)のプロジェクトでして、彼らはわれわれのソースコードを必要としていないのです。

―― デ・イカザ氏を含め、人々はMicrosoftからもっと多くのものが提供されることを望んでいるのではないでしょうか?

オジー そうですね、そのような意見があることは理解できます。正直に言うと、わたしはそうした声を聞いたことはないのですが、つまりは「オープンソース化を考えているのか」というということでしょうか?

―― 肝心なことはそこだと思います。恐らくは「ノー」という答えになるのでしょうが。

オジー わたしの見解はこうです。もしオープンソース化に何らかのメリットがあるのなら、例えば顧客の利益になるといったことであるなら、われわれがそれを考えない理由はありません。実際、われわれは.NET Frameworkの多くをオープンソース化しています。

 わたしにとって、そうしたことは極めてプラグマティックな選択です。今日、あらゆる企業、あらゆる技術プロバイダは、Microsoftも例外ではありませんが、オープンソースのコントリビューターであることとユーザーであることを適切なバランスにしなければなりません。AppleのWebKitをみれば、あるいはAppleのスタック全体をみれば、さまざまなライセンスとコードを巧みに利用していることが分かります。

 Microsoftはプロプライエタリなソフトウェアで稼いではいますが、相互運用性が必要になる領域もあれば、われわれがあまり注目していないクロスプラットフォームの実装が重要になるような領域も存在します。しかし、Silverlightの場合はどうでしょうか。そういう話は聞いたことがありません。Macの場合、誰もオープンソースのことなど気にかけないでしょう。われわれはそうした仕事をすべきだと考えています。Nokiaに対してもわれわれはそうしています。Windowsでも同様です。Linuxもその通りです。

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