修羅場を乗り越えてきたJavaの新たなる試練Weekly Memo(1/2 ページ)

先週、「Javaの生みの親」といわれるジェームズ・ゴスリング氏が来日し、Javaの最新状況について講演した。その内容とともに、エンタープライズ向けJavaについて考察したい。

» 2008年12月08日 08時36分 公開
[松岡功ITmedia]

“Learn Once, Work Anywhere”でもあるJava

 「Javaが出現する以前は、ネットワークを前提としたプログラミング言語という発想は過激と受け止められていたが、今では当たり前になった。これからまだまだ、やらなければならないことがたくさんある」

 先週2日から3日間、サン・マイクロシステムズが開催した「Sun Tech Days 2008 in Tokyo」の初日、基調講演を行った米Sun Microsystemsバイスプレジデント兼サンフェローのジェームズ・ゴスリング氏は、開口一番こう語った。

 同氏はまた、「Javaが登場して13年。対応デバイスは50億以上を数え、プロのJava開発者も世界中で1000万人に達する」と、Javaの広がりを強調。加えて同イベントがエンジニア向けなのを意識して、「“Write Once, Run Anywhere”というJavaのコンセプトは不変だが、皆さんには“Learn Once, Work Anywhere”(一度学べば、どこでも働ける)ともお伝えしておきたい」と呼びかけた。

 続けて同氏は、アプリケーションサーバ「GlassFish」の機能強化やJavaリアルタイムシステムへの取り組み、統合開発環境「NetBeans 6.5」やリッチインターネットアプリケーション(RIA)開発・実行プラットフォーム「JavaFX 1.0」など新たに投入した製品について紹介。それらの話題に横串を刺すように、オープンソース化のさらなる推進に向けてコミュニティー志向を一層強めていく姿勢を示した。

java 「Sun Tech Days 2008 in Tokyo」で基調講演を行う米Sun Microsystemsバイスプレジデント兼サンフェローのジェームズ・ゴスリング氏

 「Javaの生みの親」といわれるゴスリング氏には12年前、インタビューしたことがある。そのとき同氏は、Javaを開発した理由についてこう語っていた。

 「分散コンピューティングにおけるソフトウェアの開発・実行環境を、ネットワーク上で実現したいと考えたのが発端だ。当初はC++をベースにしようとしたが、より高い移植性や信頼性、そしてどんなプラットフォームでも動く新しい言語環境が不可欠になった。Javaによって、エンジニアはすべてのプラットフォームに向けて共通したソフトウェア開発ができるようになる」

 この発想が“Write Once, Run Anywhere”をコンセプトとしたJavaを生み出したわけだが、今回の講演でも、最新の話とともにこのコンセプトの意義を一貫して説き続ける同氏の存在そのものが、Javaの強みになっていると感じた。

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