人のトラブルを助けるのがわたしの仕事。それは分かっているけれど、一方的に呼び出されて、解決したら“はいさようなら”じゃ少し寂しい。仲間とは電話やネットだけじゃなく、気持ちでもつながっていたいものです。
ある日の昼下がり。私がいつものようにコーヒーを飲みながらまどろんでいると、突然会議室から「すぐに来てほしい!」と内線電話が入った。どこのだれなのか名乗ることもなく、そして何が起こったのか詳しい事情が説明されることもなく、その電話は切られてしまった。なんて失礼なヤツ、もとい、なんてサッパリした人だろう。
「ツー、ツー」とだけ鳴る受話器を持ったまま、あぜんとするわたし。頭は一瞬真っ白になったけれど、固まっている場合ではない。要件だけを言って切ってしまうほど何か大変なことが起きたのかもしれない。とにもかくにも、急いで会議室へ駆けつけた。
会議室のドアを開けてみると、なにやら人だかりができている。
「事件はあそこで起こったんだな!」とその人だかりへ割り入るわたし。そこにあったのは、(ノート)PCとプロジェクターだ
それを見たとたんに、“PCの画面がプロジェクターから映らない”というトラブルが頭をよぎる。もしかして「またかな?」と。しかしそれは口には出さず、あえて「どうしました?」と聞いてみた。
返ってきた返事は次のようなもの。「何も表示されないんですよ。配線は正しいのに」
まただった。
「自力で何とかしてよー」と口に出したいが、ここはグッと我慢。同時に「すべての仕事を放り出して慌ててやってきたのに……」と脱力感に襲われるわたし。念のために状況を確認しようと、PCとプロジェクターをチェックした。どちらも電源は投入されており、正しく配線もされていた。しかし、プロジェクターからは何も表示されない。
……とまあ、一通りチェックを続けるわたしに、声をかけてきた人がいる。
「プロジェクターのメニューを触ってみたんですけど、やっぱり映らないんです」
(そりゃ、プロジェクター側をいじっても解決しないだろうな……)と思いつつも、口には出さない、心の広いわたし……。
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