管理者にやさしいWebサーバを構成するLAMPからWISAへ〜Webサーバ構築は次のトレンドへ(1/3 ページ)

Webサーバを構築する際に、導入コストを抑えようとオープン系のツール群による構成を選択すると、かえって管理コストが高くなってしまったということもある。今回は、Windows Serverによる兼任管理者にもやさしいWebサーバの構築について触れてみたい。

» 2008年12月22日 13時30分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]

経営者の悩みと兼任管理者の悩み

 企業の経営者はすべての場面でコストを重視する。導入コストを抑えることも考えるし、ランニングコストを計算することも忘れない。Webサーバを企業内で構築する計画では、オープン系(=低導入コスト)のLAMP(Linux+Apache+MySQL+PHP/Perl)かパッケージ系(=高導入コスト)のWISA(Windows+IIS+SQL Server+ASP.NET)かをコストで比較することになる。LAMPは導入コストを抑えることができるが、運用に専門的な知識を必要とするため管理コストが高くなりがちと聞く。一方、WISAではどうだろうか。WISAの導入コストを抑えることができるWindows Web Serverについては前回取り上げた。ではWISAの管理性はどうだろう。

 社内システムの構築でWebサーバをイントラネット上に構築する場合でも、BtoBやBtoCのためにWebシステムをインターネット上に構築する場合でも、企業の悩みは、誰がどうやってサーバ管理をするのかという問題だ、これはランニングコストに直結する。中小企業などで専門のシステム部門が無い場合に、導入コスト重視からシステムベンダーの言いなりになって導入したLAMPサーバを社内で管理できず、すべてがベンダーへ丸投げになっているという状態をよく目にする。社内にLAMPを管理できる管理者がいないから、という理由が主なものだろう。

 ただ管理者不在といっても、社内ネットワーク内のWindowsサーバは、本来の業務とは別に管理を任されている社内の兼任管理者がいて、管理している場合が多い。社内ネットワークの管理担当者がいるのに、LAMPで構成されたWebサーバを管理できないという事態が起きるのは、サーバ管理のスキルセットの違いに起因する。つまり、Windowsサーバの設定変更などの管理を行うために必要なスキルと、LAMPサーバを管理するためのスキルに大きな隔たりがあるからだ。

 LAMPの場合は、UnixやLinuxを使いこなしているといった場合を除いて(中小企業においてこうした人材はごくまれにしか存在しないだろう)、兼任管理者が慣れ親しんでいる環境とは言い難く、LAMPの管理ができるということ自体がひとつの資格またはステータスのようになってしまっている。一方、WISAでWebサーバを構成した場合、ベースとなるWindowsサーバの管理は、普段使っているWindows XPやVistaなどのクライアントOSの操作方法とさほど違いが無く、ハードルが低いと言える。

 言い換えれば、WISA構成のWebサーバであれば、専門のスキルを持った管理者を雇う、またはWebサーバの管理をアウトソーシングしなくても、自前でWebサーバを管理できる可能性が高いということだ。管理コストを重視する経営者にとっては大きなメリットになるだろう。

 兼任管理者の立場で見ると、WISA構成のWebサーバ管理であれば、スキル習得が最低限のみでよく、社内サーバの管理と統合して管理できる充実したツール群も用意されているので、大きな負荷にならずに管理できる。さらにアウトソーシングしている場合と比べ、臨機応変にきめ細かな対応ができることもポイントとなる。

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