管理者にやさしいWebサーバを構成するLAMPからWISAへ〜Webサーバ構築は次のトレンドへ(2/3 ページ)

» 2008年12月22日 13時30分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]

管理者にやさしいWindows Web Serverの管理機能

 では、WISAのベースとなるWindows Web Server 2008の便利な管理機能について、代表的なものを見てみよう。

 サーバ管理で重要なことは、サーバの持つリソースがどれくらい使われていて、あとどれくらいの余裕があるのかを、どうやって知るかということだ。Windows Web Server 2008でより強力になったシステムリソースマネージャ(WSRM)は、Webサーバのリソース状況を把握するだけでなく、Windows環境でおなじみのポリシーベースでリソース配分を設定できる強力なサーバ管理ツールだ。サーバマネージャに統合された使いやすいGUIで操作できる。

WSRM サーバマネージャに統合されたWindowsシステムリソースマネージャ(WSRM)

 リソース管理の面では、CPUとメモリの使用上限を設定できるほか、プロセッサとプロセスの関連付けや、プロセス単位でメモリの上限値を設定することもできる。

 また、同様にサーバマネージャに統合された信頼性モニタを利用することで、日々のサーバの状態をスコアリングしたグラフで表示し、どの辺に信頼性を損なう原因があるのかを一覧として表示できる。管理すべきポイントを的確に知ることができ、管理の手間を大幅に省力化してくれる。

信頼性モニタ サーバマネージャに統合された信頼性モニタ

 管理者にとってうれしいのは、特別なツールを購入しなくても、システム上に発生した異常を常にモニタリングし、ログ記録やメール通知をしてくれる機能が標準で用意されていることだろう。

 このほか、強化されたタスクスケジューラでは、タスクのトリガ(起動条件)として、従来通りの日時などの時間的スケジュールだけでなく、ログオン時、スタートアップ時、アイドル時、ユーザーセッション接続/遮断時、イベント発生時など、さまざまな条件を指定できる。また、トリガで起動されるタスクそのものも、従来のプログラムの起動だけでなく、メールの送信もダイアログで簡単に設定することができるようになっている。これにより、従来は別途有償のツールを購入しなければならなかった、さまざまなイベントのメールでの通知が標準で可能となり、低コストで管理者の仕事を助けてくれる。

新規トリガ イベント発生時を含むさまざまな条件でトリガを指定できるようになった
タスク 設定したトリガ条件により実行されるタスクそのものに、プログラムの実行だけでなく電素メール送信など、管理者が必要とする機能が、標準で利用できる

 さらに、Windows Server 2008が標準で備えるWindows Serverバックアップ機能は、管理者が重宝する機能のひとつだ。別途バックアップアプリケーションを購入することなく、サーバのバックアップを任せられる。

バックアップスケジュールウィザード ウィザード形式で設定していくだけで簡単に設定ができる、Windows Serverバックアップのバックアップスケジュールウィザード

 Windows Web Server 2008の利点のひとつが、セキュリティの高さ、また、セキュリティを高い状態に維持するのに特別な労力を必要としない点にある。ほかのWindows OS同様に、Web ServerにおいてもWindows UpdateやWindows ファイアウォールが、Webサーバをセキュアな状態に保ち、管理者の負担を軽減してくれる。

 Windows Web Server 2008は、Windows Server 2008の持つ、さまざまなリモート管理の機能を継承している。おなじみのリモートデスクトップやTelnetのほかにも、WMI、WinRM(Windows Remote Management)、WinRS(Windows Remote Shell)、管理者注目のWindows PowerShellなど、さまざまな手段でセキュアにサーバをリモート管理できる。Windows Server 2008をWindows Vista SP1からリモート管理するためのリモートサーバ管理ツール(RSAT:Remote Server Administration Tool(KB941314))も用意されているので、管理者が普段利用しているWindows Vistaからサーバをリモート管理するのもGUIを使って楽にこなせる。

 管理者に必要と思われる便利な機能がオンラインで提供されているのも魅力だ。Sysinternalツール群と呼ばれる管理ツールが、Windows Sysinternalサイトからダウンロードできる。このサイトには、ファイルおよびディスク関連のユーティリティ、セキュリティ関連のユーティリティ、ネットワーク関連のユーティリティなど、さまざまなツールが無償で提供されているので、管理者であれば一度は訪れておきたい。

 もちろん、Windows Web Serverの管理ツールの優位性は、兼任管理者にとってだけ有益なわけではない。サーバ管理を専門としている管理者にとっても省力化のためのありがたい機能はたくさんある。コマンドラインでスクリプトを駆使するような高度な管理手法であっても、PowerShellに代表される強力なツールが、管理者を助けてくれる。

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