オバマ政権スタッフ、ホワイトハウスのIT環境に不満

「Facebookによる支援者とのコミュニケーションもない。外から電子メールにログインできない」――オバマ政権のスタッフはこのような不満を漏らしているようだが、そこには懸念される点もある。

» 2009年01月23日 14時34分 公開
[Larry Seltzer,eWEEK]
eWEEK

 今朝、Washington Postのある記事が目に留まった。「ホワイトハウスがテクノロジー暗黒時代にあることをスタッフが発見」という記事だ。これはいい兆候ではない。だが、わたしがそう思うのは、この記事が示唆する理由からではない。

 記事の一部、おそらくほとんどの部分では、ホワイトハウスでの政権移行のあらゆる場面で起きているであろう問題を詳細に記している。突然新しいスタッフが大勢増えて、その分の電話番号やネットワークアカウントを用意するのに時間がかかっている。これは当たり前に起きることだ。2001年に入ってきたブッシュ政権のスタッフは、去りゆくクリントン政権のスタッフがキーボードの「W」のキーを引き抜いて、ちょっとした妨害行為を行ったと訴えていた。

 ホワイトハウスの政権移行では、こうした問題は避けられないと考えざるを得ない。このような場所では、膨大な名前のリストを名簿に入れるだけでは済まない。調査と準備ができるように、1月20日の前から作業をスタートさせるのが適切なやり方だろう。だが、政治的な理由からそれは不可能なようだ。今回の場合、オバマ政権のスタッフがブッシュ政権のホワイトハウスで作業することになるからだ。

 Post紙の記事で驚いたのは、スタッフがこんな文句を言っていた部分だ。「Facebookによる支援者とのコミュニケーションもない。外から電子メールにログインできない。ソーシャルネットワーキングサイトなどを通じて、オバマ氏の勢力を拡大する手助けをしたスタッフのための調整が難しい」

 なんということだ。ホワイトハウスのコンピュータでは既存のインターネットアプリケションを何も使えないというのか。スタッフは好きな電子メールシステムを使うこともできないのか。ようこそ、安全な組織へ。

 ホワイトハウスのニューメディアチームは特に大変だ。「Macでの作業に慣れたチームメンバーは、コンピュータにMicrosoftの6年前のバージョンのソフトが入っていることに気付いた。ノートPCは少なく、西棟の数人の職員だけに割り当てられている。同チームはオンラインビデオにクローズドキャプションを付けるのに苦労している」。ソフトについて具体的な説明はないが、「Microsoftの6年前のバージョンのソフト」はOffice 2003を指しているのではないだろうか。だが、ビデオ編集ソフトを指しているのだとしたら、どのソフトのことなのかは分からない。Movie Maker以外に、Microsoftはそういうソフトを作っているだろうか?

 オバマ政権のチームは、ホワイトハウスに必要なセキュリティ要件からどんな制約を課されることになるか、なぜ自分たちがそこにいるのか分かっていないと感じる人もいるだろう。ここの数年のセキュリティビジネスの実情を知っていれば、ワークステーションをロックしなければならないことや、一般のサービスへのアクセスは審査を受けたもの、おそらくは特にセキュリティ上の処置を施したものに限定する必要があることは理解しているはずだ。

 だがわたしが心配になったのは、外部電子メールアカウントについての文句だ。もしわたしがこのような仕事を始めて、数日間電子メールアドレスがもらえないと分かったら、怒るだろうし、何らかの解決策を取るだろう。だが、ブッシュ政権時にホワイトハウスで外部電子メールシステムに関するスキャンダルが起きたばかりではなかっただろうか。あの件では、職員が連邦議会に証言に呼ばれ、刑事罰を受けることになると脅された。アラスカ州知事サラ・ペイリン氏は公務にYahoo!のメールアカウントを使ったことで批判された。当時ABC Newsは「政府のものでない電子メールシステムを使うことで、『情報を保護するための公式のメカニズム以外のところに情報が流れてしまう』と米国初のサイバーセキュリティ責任者アミット・ヨーラン氏は語った」と報じた。

 Post紙の記事は、恩着せがましく実施中のセキュリティ制限に触れ、「一部には慣習から、またセキュリティ上の理由から、すべての公務がPresidential Records Actの下で記録されるようにするためのもの」としている。その後すぐに、広報部の職員がホワイトハウス顧問の許可を得てGmailアカウントを開設したと伝えている。大騒ぎするようなことじゃない。

 いずれ、おそらくは1カ月で、スタッフは準備を完了して、公務を実行するために何をしなければならないかを理解するだろう。だが、もしも彼らがこの記事から感じられるように忍耐に欠けていたら、心配だ。仕事をこなすことが素晴らしい目標であるのは明白だが、セキュリティ上の手続きよりも優先させるわけにはいかない。それで「ホワイトハウス職員」のためのFacebookグループを持てないということになるのなら、それはお気の毒様だ。

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