最新のIT業界動向にみる「Change」の予兆Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2009年01月26日 08時49分 公開
[松岡功ITmedia]
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Ciscoのサーバ市場参入が示す「Change」の予兆

 もう1つ、「Change」の予兆として注目されるのは、米ニューヨークタイムズが19日に報じた米Cisco Systemsのサーバ市場への参入だ。同紙によると、Ciscoはこの3月にもサーバやネットワーク機器に米VMware製の仮想化ソフトウェアを組み合わせて販売するという。今のところCiscoからの正式な発表などはないようだが、業界関係者の間では以前から噂に上っていた。

ルータやスイッチなどネットワーク機器の最大手ベンダーであるCiscoが、なぜサーバ市場へ進出するのか。アナリストの推測によると、Ciscoの新たなサーバ製品はデータセンター向けの可能性が高いという。

 確かに、今後はクラウドコンピューティングの進展に伴って、そのインフラとなるデータセンター向けのサーバの需要は一層高まるだろう。しかし、一方でCiscoはIBMやHewlett-Packard(HP)などの有力サーバベンダーとネットワーク機器の販売で提携しており、サーバ市場に進出すれば、そうした従来の販売パートナーと競合する格好となる。それでも進出するとなれば、Ciscoはおそらくデータセンター事業を幅広く展開するつもりなのだろう。

 販売パートナーとの競合もさることながら、サーバ市場に進出するCiscoにとって最も試練となるのは、市場そのものがIT分野の中でも最も激戦区であることだ。VMware製ソフトと組み合わせることから、Ciscoの新製品はx86サーバが中心とみられるが、x86サーバ市場は前々回の本コラムでも紹介したように熾烈な勢力争いが繰り広げられている。

 前々回の本コラムは、日本HPがx86サーバ関連製品の価格改定を行ったのを機にx86サーバ市場の動きを紹介したが、先週22日には日本IBMが日本HPに対抗して大幅値下げを発表し、勢力争いは一段とヒートアップしている。Ciscoはその中に割って入っていかなけばならない。

 だが、そうした現状はCiscoも十分織り込み済みだろう。Ciscoがどのような戦略で挑むか。それ次第でx86サーバ市場も「Change」するかもしれない。

 「Changeが新たな活力を生み出す」―― IT業界もオバマ氏のこの言葉にあやかっていきたいものだ。

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プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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