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» 2009年02月20日 08時00分 UPDATE

アナリストが斬るITトレンド:iSCSIが牽引する中堅・中小向けストレージ――大手ベンダーの動向は (1/3)

データの増大にともない、ストレージへのニーズも高まる中、各ベンダーからさまざまなストレージ製品が発売されている。今回は特に、中小・中堅企業向けストレージにおけるベンダーの動きを探ってみよう。

[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムックPlus「ストレージ市場の最新トレンド」でご覧になれます。


 前回は年商に応じて中堅・中小企業を4つの区分に分け、各区分におけるユーザーのストレージ活用実態について俯瞰してみた(前回紹介した年商による中堅・中小企業区分)。今回は大手ストレージベンダー各社の中堅・中小企業向け製品展開を見ていくことにする。

 iSCSIの登場によって中堅・中小企業に対してもIP-SANストレージを安価に提供できる素地が整ってきた。2008年からは100万円を切るiSCSI対応ストレージが各ベンダーから提供されてきている。これを契機にストレージ分野においても中堅・中小企業向けというラインアップがより明示的に意識されるようになってきた。

 ベンダーのアプローチとしては主に2つの方向性がある。1つは大企業向けに実績のあるOSやアーキテクチャをそのまま踏襲し、一貫した機能や運用管理性を実現するというものだ。NetApp、EMC、サン・マイクロシステムズ、日本IBM、富士通、日立製作所などがこれに該当する。もう1つは中堅・中小企業を主な対象とした新しい製品やラインアップを投入するパターンだ。この場合はIP-SANとNASの共存、データ移行ウィザード、コンパクトな筐体など既存環境にフィットさせるためのさまざまな機能を揃えている点に特徴がある。NEC、日本HPなどがこれに相当する。

 前者は将来的なデータ量増大が見込まれるが、初期投資を抑えたい比較的規模の大きな中堅企業。後者はサーバ統合やIT統制などによってストレージの整理・統合が必要になってきた中堅企業もしくは中小企業が対象になると考えられる。

小規模の構成から始められるスケールアウトスタイル――アイシロン・システムズ

 「クラスタストレージ」という独自の方式を持った[Isilon IQシリーズ」を中心とした製品展開を行っている。各ストレージ筐体に同梱されたコントローラが協調動作することで、筐体数が増えるにしたがってパフォーマンスが向上する設計だ。各筐体間は高速なInfiniBandで接続されているため、筐体単位でのRAID構成(3つ以上のECCブロックを持つ構成も可能)を組んだ場合でも高速なスループットを発揮する。

 こうした独自技術を持った製品ではあるが、最小3筐体の手軽な構成から始められる。そのため、データ量増加スピードが予測できない一方で、筐体追加による迅速なプロビジョニングと高速なアクセスが要求されるニーズに適している。

 同社ではスケールアウトスタイルのこの特徴を「Pay-As-You-Grow」と呼んでいる。通常は筐体数が増えるに従って、管理ボリュームも増加し、結果的に管理運用負担が大きくなる。しかし、同社の製品は筐体数を増やしても、管理対象ボリュームは常に単一の状態が保たれる。運用管理のための人的リソースを割きづらい中堅・中小企業にとって有効性の高いアーキテクチャといえるだろう。

独自のストレージOSで運用性アップを狙う――NetApp

 NetAppは早期からシンプロビジョニングなどストレージの先駆的な取り組みを進めているストレージベンダーである。全製品共通のシングルアーキテクチャとOS(Data ONTAP)を持ち、データ量増加による製品バージョンアップにおいても運用管理ノウハウはそのまま継承できることが大きなメリットである。

 中堅・中小企業向けにはFASシリーズのエントリモデルとなるFC-SAN/IP-SANストレージ「FAS2000」を提供している。価格は300万円からと同社製品群の中では比較的安価ながら、「Data ONTAP G7.2」を備えており、他のFASシリーズ製品と同様にシンプロビジョニングやデータデデュープも可能だ。

 同社は筐体間仮想化を実現するOSとして、買収したSpinnaker Networksの技術に基づく「Data ONTAP GX」を提供しているが、既存の「Data ONTAP 7G」との統合も2009年中を目標に進んでいる。今後の業務拡大に伴うデータ容量増加が予想され、「Data ONTAP」が提供するさまざまな機能を必要とするような中堅Mクラス以上の企業が対象となる。

中小企業から中堅まで、幅広いラインアップ――NEC

 NAS製品のラインアップが充実している。20〜100万円程度の価格帯で、コンパクトな筐体を持った「iStorage NSシリーズ」は中小企業クラスでも手軽に導入・運用が可能だ。ミッドレンジ向けには「iStorage NV5400シリーズ」、ハイエンドには「iStorage NV7400シリーズ」が提供されており、前者は中堅LクラスからMクラス、後者は中堅MクラスからHクラスが対象となる。

 NASやSANが混在した環境に対してはゲートウェイモデルの「NV7400G」が用意されている。早期にFC-SANを導入した一部の中堅Hクラス企業がSAN/NAS統合を図る際などに活用することが考えられる。

 また、同社は各社との提携も活発に行っている。NASストレージの仮想化による統合という観点ではF5のNAS仮想化アプライアンス「ARX」と「iStorage NVシリーズ」との連携動作を検証済みだ。さらに、EMCとの共同開発で100万円を切るiSCSI/FC-SANの2モデルを揃えた「iStorage E1」を提供している。中小企業クラスから中堅Hクラスまで幅広いラインアップを揃えていることが同社の強みといえる。

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