マイクロソフトの企業向けクラウドは「自社運用型との共存」指向SLAで100%返金保証も(1/2 ページ)

自社運用型かクラウドサービスの導入か――。電子メールやスケジューラーといった情報系システムの運用が変化しつつある。マイクロソフトが提供を開始した企業向けクラウドサービス「Microsoft Online Services」は、両方のシステムを共存して稼働させることができるという。

» 2009年03月11日 08時30分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 マイクロソフトは3月10日、ソフトウェアの機能をインターネット経由で提供する企業向けサービス「Microsoft Online Services(MOS)」をβ版として無償で公開した。100名〜数千人規模の規模で、自社運用のシステムとクラウドサービスの共存を見据える企業の取り込みを狙う。正式版は4月から提供する。

 提供を開始したのは、Exchange ServerやSharePoint Serverの機能をインターネット経由で提供する統合サービス「Business Productivity Online Suite(BPOS)」。電子メールや予定表を共有できる「Exchange Online」、ファイル共有やポータル機能を持つ「SharePoint Online」、インスタントメッセージングや在席情報の確認といった機能を含む「Office Communications Online」、Web会議の機能を持つ「Office Live Meeting」で構成する。

 BPOSの特徴は、管理者、エンドユーザーとも一貫した画面で容易に管理や操作ができる点。管理者は、名前や役職名を入力して、電子メールの容量やアクセス権限を割り当てるだけで新規ユーザーを登録できる。複数のユーザーを一括登録する場合はCSVファイルを使う。Exchange Online、SharePoint Onlineの設定や各ユーザーの容量管理、業務のプロジェクトごとにどれだけの記憶領域が割り当てられているかなども一画面上で把握できる。

管理画面ユーザーの操作画面 管理画面(左)とユーザーの操作画面(右)

 Exchange OnlineとSharePoint Onlineのあらゆる機能が使える。5Gバイトの電子メール容量を提供し、Outlook2007との連携やWindows Mobileなどの接続もカバーしている。導入に適した企業として、100人から数千人規模でデスクワークの業務が多いユーザーを抱える企業を想定。外出が多く、あまりPCを使わない企業には、Exchange ServerやSharePoint Serverの一部の機能と500Mバイトの容量が使える「Deskless Worker Suite」というエディションも用意する。

 サービスレベル契約(SLA)は、Exchange Onlineが電子メール、SharePoint Onlineは専用サイト、Office Communications Onlineがインスタントメッセージングなどで、月間のサービス稼働率の99.9%を保障する。稼働率が99.9%を下回った場合は料金の25%分に相当する金額を支払うか、同料金分のサービスを追加で利用できるようにする。稼働率が99%を下回った場合は50%分、95%を下回った場合は100%分を保証する。

 価格は調整中だが、4つの機能を含むBPOSの場合、1ユーザー当たり月間1500〜1600円程度になる見通し。BPOSを15ドルで提供している米国と同水準になる。契約したライセンス数に応じて最大20%以上の値下げも考えているという。

サービスレベル契約価格体系 サービスレベル契約体系(左)と価格体系(右)
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