IBMによるSun買収報道――専門家に聞く目的はユーザー獲得か(1/2 ページ)

Wall Street Journalが米IBMが米Sun Microsystemsを65億ドルの現金で買収する交渉を進めていると伝えた。IBMの目的は何か。ユーザーにはどんな影響があるのか。専門家に聞いた。

» 2009年03月19日 13時11分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 Wall Street Journalが情報筋の発言として、米IBMが米Sun Microsystemsを65億ドルの現金で買収する交渉を進めていると伝えた。記事によると、Sunは多数の大手IT企業に買収を持ちかけていたという。この買収が実現するとどんなインパクトがあるのか。IT専門の調査会社、ITRの内山悟社長、IT編集者の松岡功氏に話を聞いた。

ITR内山氏の見方

内山氏

 「いよいよ来たか」というのが第一印象です。IBMはJavaの開発コミュニティーなどSunが持つ無形の価値を評価したのではないでしょうか。Sunは一時期サーバが売れなくなって、Javaをオープン化することで復活したという面があります。でも収益面でJavaがどれだけ貢献したのかは未知数。オープンソースコミュニティーを新たなビジネスとかお金にかえる力はSunにはありませんでした。

 IBMもアプリケーションサーバ用の開発環境としてEclipseを開発していますが、オープンソースでベンダーが収益を上げるのはこれまで難しかった。オープンソースは無視できない存在になっています。ライセンスはフリーでも、特定のベンダーがサポートすることで儲けるといった収益構造のモデルを1つつくるべきかもしれません。

 IBMは、Sunの主力であるSun SPARCやSun Fireなどを「保守する」と表明するでしょうが、研究開発などを続けるかどうかは分かりません。ハードウェアについてはユーザーにかなりのインパクトがあるため、IBMは今後のロードマップなどを明確に示す必要があります。

 Webサーバで使われていたSunの中小型サーバはインストール数が多いので、Sunの製品が事実上消滅するとユーザーの選択肢が狭まり、それはユーザーにとってはデメリットといえるでしょう。超大型サーバについていうと、製品開発はお金がかかります。クラウドコンピューティング向け大型サーバとして、IBMが活用していくシナリオを描けるのかが焦点ですが、可能性は低いと思います。IBMは、従来の自社製品を優先していくと考えられます。(談)

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