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» 2009年06月10日 00時00分 UPDATE

Google Developer Day 2009 Japan Report:Googleが描く「よりパワフルなWeb」の世界

Google Developer Day 2009では、先月開催されたGoogle I/O 2009でも紹介された「HTML5」「Android」「ソーシャルウェブ」が、Googleの内外で化学反応を起こしている様子が関係者の口から語られた。

[西尾泰三,ITmedia]
tnfigg5.jpg 「本日は、皆さまにハッピーサプライズも幾つかご用意しています」と話す辻野氏

 グーグルは6月9日、国内で開くのは3回目となる開発者向けイベント「Google Developer Day 2009 Japan」を横浜市のパシフィコ横浜で開催した。

 今回メインテーマとして掲げられたのは「A More Powerful Web, Made Mobile, Made Social, Made Easier」。基調講演は、先月開催されたGoogle I/O 2009でも紹介された「HTML5」「Android」そして「ソーシャルウェブ」といったテーマをアレンジする形で進行していった。

 冒頭、グーグルの代表取締役社長である辻野晃一郎氏は、「日本を単なるマーケットとして重視しているだけでなく、日本の皆さまの才能をインテグレートすることが重要だと思っている」と来場した開発者たちに向け、この日がWebアプリケーションの限界に挑戦する最新のテクノロジーをシェアする日であると訴えかけた。

アプリケーションプラットホームとしてのHTML5

takoratta 及川卓也氏

 その後、2時間におよぶ基調講演でホストを務めたのは、グーグルでシニアプロダクトマネジャーとして活躍する及川卓也氏。同氏は、従来のWebアプリケーションが抱えていた課題――グラフィックス処理、ロケーション情報の活用、ストレージの制約、処理スピード――の多くが、次世代のWebにおける新しい技術の総称である「HTML5」にみられるような技術の進化によって克服されつつあると説明。2Dのベクターグラフィックを扱うAPI「Canvas」や、シェーダ技術をベースとした3DグラフィックAPI「O3D」、geolocationやapp cache/database、さらにはネイティブアプリケーションでいうスレッドに相当するものをJavaScriptでも利用可能にするAPI「Web Workers」など、HTML+JavaScriptという標準的な技術だけでFlashやSilverlightといったプラグインに頼ってきたリッチな表現が可能であることをデモンストレーションを交えながら紹介した。

 こうした主要なAPI以外にも、ブラウザとサーバの間で単一ソケットによる双方向接続を行うための「Web Sockets」や、新着情報をユーザーに対して表示するための「Notification」など、さまざまな機能群APIが次世代のWeb標準として取り込まれるよう標準化団体に働きかけ、また、率先して実装していきたいとした。なお、HTML 5という軸でこれまで同社が取り組んできた機能拡張を把握するには、Google I/O 2009リポートについて書かれた「グーグルが賭けるHTML 5の未来」を参照いただきたい。

ドコモ、Androidへの期待

tnfigg2.jpg 「スマートフォン市場での強力な武器」とAndroid端末に期待を寄せるNTTドコモ執行役員プロダクト部長の永田清人氏

 「スマートフォン市場での強力な武器。期待を膨らませている」と産業界の視点からAndroidを語ったのは、国内初のAndroid端末「HT-03A」を擁するNTTドコモ執行役員プロダクト部長の永田清人氏。ドコモでは昨年末にライフスタイルに合わせた商品ラインアップに変更しているが、永田氏は、「携帯電話で自由にインターネットを利用できる環境の整備という点で、積極的な取り組みを行ってこなかった」とし、その反省も踏まえて、HT-03Aで強力な巻き返しを図りたい考えを示した。同機種はPROシリーズに属するものの、この端末だけを訴求したテレビCMを製作するなど、「ケータイするGoogle」というキャッチコピーを強烈にアピールするために異例の体制で臨む姿勢だ。

 そして、「スマートフォンの市場は確かに有望だが、デバイスだけでは市場はできない。その成長はアプリケーション次第」と永田氏は述べ、開発者たちに魅力あるアプリケーションを創造してもらうことを期待としていると語った。

 一方のGoogleも、アジア地域のAndroid事業を統括するトム・モス氏が、端末向けのアプリケーションがダウンロードできる「Android Market」を日本市場でもHT-03Aの提供に合わせて開始する意向を示した。まずは無料アプリケーションのみでスタートするが、速やかに有料アプリケーションまで拡大したいという。

日本における「オープンソーシャル」

 基調講演の後半は、現在のWeb業界を語る上で外せない存在となりつつある「オープンソーシャル」に時間が割かれた。「Web=good」「Social=Good」「Web+Social==Better!」とその性質を一言で語ったのは、OpenSocialファンデーションのボードメンバーであり、Googleのエンジニアリングディレクターでもあるデービッド・グレーザー氏。

笠原健治社長 ミクシィの笠原健治社長

 Webサイト同士の関係性をソーシャルグラフとして結びつけていくことで、ネット上のサービスを疎結合する、いわば、“緩やかなSOA”ともいえるオープンソーシャル。日本でも今後より話題となるだろうこの技術基盤となり得るサービスを2つ挙げるなら、次のステップに向けて力強く歩んでいる最大のSNSサービス「mixi」と、ポータルサイトのソーシャル化を進める「goo home」である。その2社がどのようにオープンソーシャルを採用しようとしているか、その一部が語られた。

 その中でミクシィの笠原健治社長は、「プライベートなコミュニケーション、エンターテインメント性の高いコミュニケーションまたはビジネスのコミュニケーションを提供したい」とコミュニケーションインフラ構築の必要性を説く。「友人から勧められたものの方がよい」というソーシャル化による単純な効果がポジティブに回り出したとき、この波が大きなうねりとなってやって来るのではないかと予想しているようだ。

 そして、日本最大のSNSで提供できるソーシャルアプリケーションは、マーケティングコストがかからない(マイミクが広めてくれる)フラットなマーケットであるとし、また、PCとモバイルの同時展開を行っている世界でも珍しい場所に対してダイレクトにアプリケーションを出していくことは、ビジネス的にみてもチャンスがあるのではないか、と自社サービスの特徴を語った。なお、ミクシィでは広告も含めてマネタイズを支援し、ソーシャルアプリケーションのマーケットを一緒に作っていきたいという。

石原直樹 「Google Web Elements」など、紹介し切れなかった最新の動向を解説する石原氏

 その後、OpenSocialアプリケーションを開発するためのEclipseプラグイン「OpenSocial Development Environment」(OSDE)の紹介や、Google I/Oで発表された「Google wave」のプレビューなどが行われた。

 そして基調講演も終わりにさしかかるころ、もう1人のホストであるグーグルのデベロッパー アドボケイト、石原直樹氏から、今回のイベントでは事前登録済みの参加者に対し、アプリケーション開発用の実機としてGoogle I/Oでも配布していたAndroid端末を無料で配布することが告げられると、会場は大きくどよめき、Android開発の意欲を駆り立てられていた。

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