垣根を越えた参加を望む――Open IPTV Forum

IPTV技術の標準化を目指す「Open IPTV Forum」らが、国内企業にフォーラム参加を呼び掛けた。

» 2009年06月12日 19時14分 公開
[ITmedia]
フー氏

 IPTV技術の標準化を目指す「Open IPTV Forum(OIPF)」は6月12日、千葉で開催されたイベント「IMC Tokyo 2009」で、記者向けに最新動向を説明した。IPTVサービスのオープン化を狙い、国内企業への参加を呼び掛けた。

 Open IPTV Forumは2007年に設立され、通信機器メーカーや通信事業者、ソフトウェアベンダーなど55社が参加する。日本からはパナソニックやソニー、東芝、シャープ、Accessらが加入している。

 IPTVの市場動向について、OIPF議長を務めるEricsson戦略製品ポートフォリオマネジャーのユンチャオ・フー氏は、「世界的に市場が立ち上がり始め、消費者に対する業界全体のマーケティング展開が重要になりつつある。IPTVの多様なサービスを実現するためにもオープン化を進めたい」と話した。

 IPTV技術の標準化に向けた動きでは、ITU-T FG-IPTV(国際電気通信連合電気通信標準化部門IPTVフォーカス・グループ)などによる勧告や、国内では「IPTVフォーラム」による技術仕様の取りまとめなどが進められている。フー氏は、「われわれはオープン性のある仕様を生かして、機器の相互接続性を確保したい。SLAを前提とした高品質なサービスを実現させる」と述べた。

 OIPFでは、今年8月をめどに技術仕様リリース1を公開する計画で、すでにリリース2の策定も同時に進めているという。リリース1では基本仕様を、リリース2ではパーソナルサービスを中心とした仕様になる予定。特にリリース2ではテレビやPC、携帯電話といったデバイスを跨ぐシームレスサービスが可能になるとしている。

IMC Tokyo 2009ではEricssonがIPTVサービスのデモを実施。将来的にテレビ、携帯電話、PCが連係し、番組視聴中にSNSサイトに接続して知人へ評判を伝えるといったサービスが可能になるという

 2009年末もしくは2010年初頭から異なるメーカー製品同士の相互接続性試験に着手する計画で、2010年以降に対応機器が提供される見込みだという。


 フー氏は、OIPFの狙うオープンサービスに実現に日本の機器メーカーやコンテンツ事業者などの存在が不可欠だとして、参加を呼び掛けた。「これまでIPTVフォーラムと十分な接触が図れなかったが、OIPFに参加する日系各社はIPTVフォーラムのメンバーでもあり、なるべく足並みをそろえたい」(同氏)

 しかし、両団体では技術要件を中心に異なる部分も多く、容易に連携できない部分もある。例えばユーザーインタフェースの構築部分では、IPTVフォーラムがデジタル放送で広く採用されているBML(Broadcast Markup Language)を推進しているのに対し、OIPFはHTMLを推進する。

 また、フー氏は「日本のビジネスモデルは垂直統合型であり、われわれは水平分業型であるため、基本的なスタンスも異なる。しかし、日本の事業者にはグローバル市場に進出できるメリットがあり、その点も踏まえ国際連携を考えていただきたい」と話している。

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