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伴大作の木漏れ日:クラウドバーストの衝撃 (1/3)

日本IBMが、クラウド環境を利用できるようにする新サービス「クラウドバースト」を7月に発表した。具体的な製品を交えた分かりやすいサービスだ。一方で、国産ベンダーの発表内容はいまひとつだ。


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 以前、「クラウドコンピューティング」は、訳の分からない言葉になってしまったと書いた。その後、日本のコンピュータベンダー各社が自社のクラウド戦略を続々と発表したが、それで余計に分からなくなってきた。

 そんな中で、最も分かりやすい発表をしたのが日本IBMだ。

クラウドバースト

 日本IBMは7月14日、データセンターなどにおいて設置から数日でクラウド環境を利用できるようにする新サービス「IBM CloudBurst(クラウドバースト) V1.1」を発表した。他社と大きく違うのは、初めて目に見える「モノ」を見せたことだ。これまで、クラウドに関する各社の発表は何かと理念先行だった。

 CloudBurst V1.1は、プライベートクラウド環境やデータセンター内において、迅速な環境構築を実現するために必要となるサーバ、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェアといった製品に、導入サービスを組み合わせたソリューションだという。抽象的な理念ではなく、具体的な製品を発表している点が評価できる。同システムの用途はプログラムの開発基盤、Webサーバ、ファイルサーバなどに限られているものの、どの企業も導入を検討したくなるような領域をカバーしている。こうした取り組みは高く評価したい。

国産勢の苦渋

 それに対し国産勢はだらしがない。各社ともクラウドに関する戦略を発表したが、流行に乗り遅れまいという意識が丸見えで、自社の確固たる戦略を打ち出した企業はほとんどなかった。自社が考えるクラウドはどのようなものかを明らかにした企業がほとんどないのは心配だ。

 深読みすると、クラウドは彼らにとって自らのビジネスモデルを危うくする存在であることを半ば明らかにしたようなものだ。今後の製品やサービスの出荷についての記者からの質問に、具体的な回答をした企業もほとんどなかった。

 確かに、クラウドコンピューティングを上手に利用すれば、ICTコストを劇的に削減することが可能だ。ただし、その場合クラウドはまさに雲の中。どのような機材、技術が使用されているか、ユーザーにはほとんど見えてこない。この結果、ユーザーがクラウドを導入する場合、長年付き合ってきたマシンベンダーとの絆は完全に断ち切られてしまう。

 これまで築き上げたベンダーとユーザーとの信頼関係は何の役にも立たない。そこでは、価格と性能、信頼性という数値化された尺度のみが絶対的な価値となる。ユーザーとの精神的な紐帯(じんたい)を頼りにここまで生き残ってきた国産ベンダーにとって、クラウドは厄介なテクノロジーであることは間違いない。

 一方で、クラウド技術が一般化する可能性が高まると国産ベンダーはクラウドへの積極的な対応を推し進めないと海外のベンダーに市場をすべて奪われてしまうという事情もあるだろう。

 引くも地獄、進むも地獄――クラウドに関して国産ベンダーは概ねそのような気持ちを持っているのだろう。結局、彼らはクラウドに関し、苦渋の決断を下さざるを得ないのだ。

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