わが社のコスト削減

インフラ最適化の第一歩は「棚卸し」――EMCジャパンに聞くわが社のコスト削減

EMCジャパンの執行役員でマーケティング本部長の高橋俊之氏に、企業における情報インフラ最適化のトレンドについて聞いた。

» 2009年08月14日 08時55分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

「情報資産の棚卸しをするべきだ」

 こう話すのはEMCジャパンの執行役員でマーケティング本部長の高橋俊之氏だ。これまで企業の情報システムでは、データ量の増大とそれに伴うトランザクション数の増加などに応じて、漫然とサーバやストレージの台数を増やすような方法を取っていたという。これがITインフラの肥大化を招いてしまっていた。まずは情報資産の棚卸しを実施し、不必要なインフラ増を避けながら、ITを活用しながらインフラの最適化を進める必要がある。

情報インフラの最適化が企業に求められると強調する高橋氏

 「情報は生き物。生まれ、活用され、廃棄されていくもの」という高橋氏は、利用度などを把握しながら、常に情報の質を見直す仕組みの利用を見据えている。例えば、大規模なファイルサーバを運用している場合も「6割のデータは全くアクセスがないといったケースが多い」。ディスクが足りなくなったからといって、ただ台数を増やしたのでは効率が悪いというのは明らかである。

 こうした問題を解決するためのストレージ製品も進化を続けている。

「昔は情報の階層化作業が必要だったが、今は自動化されている」(高橋氏)

 例えばEMCの場合は、ユーザーがあらかじめポリシーを設定し、アクセス頻度が少ないデータは、安価なシリアルATA搭載のストレージに格納し、頻度がより高ければファイバーチャネルやフラッシュドライブ搭載のストレージに入れるといった解決策を提供している。

 EMCが2009年後半に投入する予定のこの自動化技術の名前は「FAST(ファスト)」。FASTはビジネスポリシー、予測モデル、リアルタイムアクセスのパターンに基づいて、複数のストレージ階層にまたがるデータの移動を自動化する機能だ。シリアルATA、ファイバーチャネル、フラッシュドライブの各特性を効率的に生かし、無駄なハードウェア投資を減らせる。コスト削減はもちろん、情報インフラの全体最適を目指す際の重要なツールになり得るという。

 さらなるコスト削減の手法として、アクセス頻度が低く、高速性を求めていない情報のバックアップだけでなく、オンラインで使用するための応答性、アクセス頻度の低いデータについて、データを圧縮したり重複除外することを提唱している。不必要なデータの増加を抑えられるのが特徴だ。

 データの質に合わせて最適なストレージを選び、効果的なバックアップを実施することで、今後情報量が爆発的な増加したとしても効率的にキャパシティを増やせる。高橋氏は「ユーザー企業がコスト負担を最小化しながら増え続けるデータに対応できるようになる」と自信を見せている。

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