事件はTwitterで起きているTwitter定点観測(1/3 ページ)

新たな利用者や使い方が日々増え続けているTwitter。8月にはDoS攻撃を受けてサイトがダウンしたりOAuthを利用したスパムが出回ったりした一方で、広瀬香美さんなどの著名人のTwitter活用が増え、知名度の向上に貢献した。8月前半のTwiiter動向を振り返る。

» 2009年08月16日 12時30分 公開
[小林啓倫,ITmedia]

 「事件はTwitterで起きている」

 古い言い回しだが、思わずこんな言葉が浮かんでしまうのが最近のTwitterだ。ネットレイティングスの調査によると、1月から6月までの半年間で、国内におけるTwitterの利用者は20万人から78万3000人と約4倍に増加。6月の月間ページビューは1071万で、5月に比べて約53%増という驚異的な伸びを記録している 。2009年の秋には新しい携帯公式サイトも登場するなど、利用の拡大はとどまるところを知らない。そんなTwitterの最新動向について、8月に起こった3つの話題を中心に振り返り、Twitterの現在について解説していきたい。

DoS攻撃により一時的にサイトダウン

 日本時間の8月6日深夜から7日未明にかけ、Twitterにアクセスできなくなる事態が発生した。原因はサービス妨害(DoS)攻撃だった。Facebookを始めとする複数のソーシャルメディアにも攻撃の手は及び、サービスを閉め出された利用者が「難民」となった。彼らがほかのブログサービスなどに押し寄せた結果、それらのサイトにアクセスが集中し、読み込みが遅くなるといった問題も起きた。DoS攻撃は米国時間の11日にも発生しており、今後も攻撃が継続する可能性もある。

 攻撃が行われた原因として有力視されているのが、一人のグルジア人活動家の存在だ。彼は一連の攻撃対象となった各サービスのアカウントを持ち、ロシア批判を展開していたという。彼の活動を封じ込めるため、サービスそのもののダウンを狙ったというわけだ。また攻撃があったタイミングが8月5日のイラン大統領就任式に近かったことから、ネット上では、イランで行われている抗議活動に関連したものではないかという憶測も流れた。

 話は分かったが、一企業のサービスにすぎないTwitterがそんな理由で攻撃されるのだろうか――。そう疑問を持つ方も多いかもしれない。しかし最近、Twitterが政治に利用される例が、以前にも増して目立つようになっている。

 例えば前述のイランのケース。アフマディネジャド大統領に反対する人々がTwitterを通じて情報を発信した。欧米のメディアが国外退去を命ぜられる中、過酷な弾圧を受ける様を世界中に伝えることに成功した。その影響度を考慮して、米国務省がTwitterにメンテナンス時間の変更を指示するという事態にまで進展している。

 また今年4月にはモルドバの学生が共産党への反対活動にTwitterを活用したほか、7月には新疆ウイグル自治区で起こった暴動事件に対して、Twitterが貴重な情報源となった。もはやTwitterは、政治活動の重要なインフラとしても機能している。

 そんなさなかで起きた今回のDoS攻撃事件は、Twitterの重要性を改めて象徴する出来事としてとらえられるだろう。真相は闇の中であるが、政治的な背景があるという憶測が流れるだけでも、逆にTwitterの知名度は向上するに違いない。今後もTwitterを舞台とした、体制派/反体制派双方の駆け引きが活発化するのではないだろうか。

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