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» 2009年08月30日 15時34分 UPDATE

ネットの逆流(21):500億円のSNS市場を制するのはどこか (1/2)

「mixiアプリ」を正式公開したmixiからβ表記が外れた。GREEが絶好調である一方、「ゆびとま」は機能限定で再開中だ。SNS市場を制するのはいったいどこか。

[森川拓男,ITmedia]

SNS市場は500億円?

 最近はTwitterの陰に隠れてしまってあまり目立たなかった感がするmixiだが、8月24日、そのロゴからβ表記が取れた。かくして、2004年3月にサービスを開始したSNSサービス「mixi」は5年半を経て、名実ともに正式版となったことになる。新サービスである「mixiアプリ」の正式公開がそのタイミングだったようだ。

 8月6日にオルタナブロガーの斉藤徹氏が、【2009年8月最新版】 直近決算発表に基づく mixi、モバゲー、GREE の業績比較。明暗を分けた要因の分析というエントリーをまとめている。これによれば、mixi、モバゲー、GREEの業績を比較したところ、GREEの売上・利益がmixiを大幅に上回っているということ。GREEがここまで圧倒した理由は、斉藤氏が指摘するまでもなく、コンテンツ、それもソーシャルゲームというコンテンツにあるのだろうか。そして大量に流れるTVのスポット広告が、さらに後押ししたのだろうか。

 そういう意味で、今回mixiがスタートさせた「mixiアプリ」の動向如何では、まだまだ起死回生のチャンスはあるということにもなる。

 7月13日に総務省が発表したSNSとブログの2008年度国内市場規模を推計した結果によると、SNS市場は約499億円と、ブログ市場(約160億円)の約3倍と推計されている。今後、ケータイ市場への広がりと、広告収入、有料会員やアバターなどの課金アイテム収入など増加していくという見込みだ。

「ゆびとま」は再生できるのか?

 しかし、一口にSNSと言っても安泰なところばかりではない。

 実際、わたしがアカウントを取っていたいくつかのSNSはサービスを終了、もしくは終了を予定しているし、たまにアクセスしてみても閑古鳥が鳴いているようなところもある。総務省の推計とは裏腹に、SNSの利用をやめたというユーザーが増加しているという調査結果もあるのだ。

 その中でも気になっているのが、5月に甚大なトラブルで停止してしまった同窓会SNS「この指とまれ!」(ゆびとま)だ。その後、6月に入ってから、ゆびとまエンターテインメントという株式会社によって、「Yubitoma」として機能限定ながらも再開。現状では、メッセージの送受信や、同窓会の掲示板の書き込み、退会事務手続きなどといったもののみ使える状態になっている。

 完全リニューアルまでの機能限定版という位置付けのようだが、果たしていつになったら完全復活を遂げるのか、先がまったく見えていない。しかも、PCメールアドレスやログインパスワードの変更ができるようになったが、新たに必須とされたケータイメールアドレスを設定しなければできないようになっており、不安は拭えない。

 ユーザーがSNSに参加するのは、つながりを得るためでもあるが、やはり「楽しみたい」ということがあるはずだ。何の楽しみもない場所へアクセスする人は少ない。GREEがユーザーを伸ばしたのは、「つながり」と「楽しみ」がうまくマッチングしたからとも言えるのだ。

 SNSにはそれぞれ特徴があり、ユーザーはそれぞれの目的で集う。「とりあえずSNS作りました。皆さん登録してください」と呼びかけたところで、入ってくる人は少ないだろう。実際、SNSを作ったのだがユーザーが集まらないので、ぜひ入ってほしいなどという話を聞くことがあるが、アクセスしてみると何のためのSNSだか分からない。これでは人が集まらないのは当然だ。

 そういう意味で「ゆびとま」は、「Web同窓会」という看板があったため、ユーザーを集めるのはたやすかった。問題はここからだ。登録した後のフォローが、あまりよくなかったような感じを受けた。

 確かにアクセスすると、わたしの母校も存在していて、そこには懐かしい名前も幾つか見つけることができた。しかし、それだけだった。もちろん、中にはそこから連絡をとって、実際の同窓会などに結び付けた例もたくさんあったことだろう。だが結局、「Web同窓会」という趣旨での集まりである以上、それ以上の広がりが見られなかったのは事実だ。そこは運営側の仕掛けでいろいろできることがあったかもしれないが、何もできないままに尻つぼみになってしまったのだ。その結果、登録ユーザーは多くても、すぐに幽霊会員となってしまうケースが多かったのではないだろうか。わたしもだが、復旧したユーザー名簿を見てみると、現在は修正できないまま、何年も放置されたままになっているメッセージばかりだ。

 「ゆびとま」が機能を停止してしまったのは「甚大なトラブル」ということ以外は明らかになっていないが、どちらにせよ頭打ちだったことは容易に想像できる。現在、どれだけのユーザーが残っているのかも定かではないが、リニューアル再開した「ゆびとま」が、拡大を続けると推計されるSNS市場の一翼として復活していくためには、「つながり」だけではない楽しさを追加しなければならないだろう。ユーザーがお金を払ってでもアクセスしたいと思わせる仕掛けが必要かもしれない。

 もちろん、それに加えて広告が取れるかということだが、広告費の削減傾向にある昨今では、生半可なことでは難しい。何より、一度付いてしまったマイナスイメージを払拭するのはたやすいことではない。とにかく完全リニューアルしたとて、これまでのように幽霊会員の巣窟になってしまっては、無意味なのだ。

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