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» 2009年09月01日 08時00分 UPDATE

WebPRの仕掛け方:「売り方」の構造が変わる――WebPRの台頭 (1/2)

企業の情報発信手段として、Webを積極的に使って消費者に正しい情報を伝える「WebPR」が脚光を浴びている。マスメディアの活用に代わる企業の選択肢になりつつあるWebPRの仕掛け方を6回にわたってお届けする。

[太田滋(ビルコム),ITmedia]

 4マス広告に対する企業の依存度が弱まる中、広告・販売促進の手法としてWebを使う企業が増加の一途にある。その中でひときわ注目を集めているのが、インターネットを軸としたPR活動である「WebPR」だ。

 WebPRとは、企業と消費者の間に介在するニュースサイトやブログなどの第三者(メディア)を通じて戦略的に情報を発信することを指す。メールマガジンやバナー広告など、企業から消費者に向けて直接的に提供する情報発信とは異なった立ち位置を取る。

 本稿ではWebPRに対する企業の関心が高まっている背景やWebPRの実践的な手法について、具体的な事例も踏まえながら、6回にわたって解説する。

なぜ、今WebPRなのか

 企業の情報発信においてWebPRが求められるようになってきたのはなぜか。

 2000年に国内普及率が50%を超えたPCと、2001年に同じく普及率で50%超えを果たしたインターネットによって、情報の流通構造は激変した。情報の流通量を分析する「情報センサス報告書」(総務省調べ 2008年)によると、消費者が選択できる情報は10年前と比べて約532倍にまで膨れ上がった。一方で、実際に消費された情報量は10年前の約65倍だ。これは増え続ける情報量に対して、人間の情報処理能力が追いついていないことを指す。

インターネットの台頭により変化した情報流通構造 インターネットの台頭により変化した情報流通構造(出典:ビルコム『WebPR know-how book』)

 わずか10年で情報量が500倍以上に拡大した要因は、インターネットを介した情報流通が普及したためだ。これが消費者の生活に大きな変化をもたらした。従来は、テレビや雑誌などのマスメディアからしか商品などの情報を集められなかった。だが今は企業サイトや掲示板、ブログ、SNS、Twitterなどを使って、あらゆる情報を収集することができる。

 消費者自身が情報の発信者になれる今、商品の欠点などは、企業がいくら隠そうとしても消費者同士のコミュニケーションの中で明らかにされる。もちろん、それはネガティブな側面だけにはとどまらない。商品を出した企業も気付かなかった商品の魅力や、消費者の嗜好に合った特徴が見いだされることもある。

 こうしたコミュニケーションは、友人同士や近所同士というスケールではなく、日本全国あるいは世界中を巻き込む規模で起こっている。例えば、北海道で「A社の新しいデジカメはどう?」とたずねれば、沖縄からは「ハイスペックで優れモノだけど、思ったより重量があるんだよね」という答えが返ってくる。インターネットは物理的な距離を超えた人と人のやり取りの橋渡しに寄与している。

質の高い情報とは中立性の高い情報を指す。それは第三者を介した情報発信である 質の高い情報とは中立性の高い情報を指す。それは第三者を介した情報発信である(出典:ビルコム『WebPR know-how book』)

 マスメディアから情報が一方通行で配信されていた時代から、CGM(ユーザー参加型メディア)などを通じて情報が流通する時代に変化したことで、消費者の情報に対する判断力も向上した。これまではマスメディアを介した企業視点の情報から商品の良し悪しを判断するしかなかったが、ネットで情報を集め、口コミ情報を基に商品を比較できるようになったからだ。

 その結果、消費者は大量に発信される企業視点の情報に閉口し、より中立的かつ客観的な視点に立った、真実味のある情報を求めている。質の高い情報が消費者に伝達するために、戦略的なストーリーを設計すること――これがWebPRの果たす役割である。

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