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» 2009年11月15日 10時00分 UPDATE

マネジャーに贈るこの一冊:自他の感情を知り、調整する〜『EQ こころの鍛え方』 (1/2)

なかなか自分ではコントロールできない“感情”。感情のクセを知り、行動することでそれを調整する――そんなEQ理論の活用法について考えてみよう。

[堀内浩二,ITmedia]

感情を管理する能力は開発できる

 「我が方が 論理的だと 感情論」

 のっけから下手な川柳で恐縮です。ダイレクトに「我が方が 論理的だ」とまでは言わないものの、このようなシーンに遭遇した経験をお持ちの方は多いと思います。論理的思考や意志決定の研修などでも、しばしば「意志決定者は感情をどう扱うか」というディスカッションになることがあります。

EQ こころの鍛え方 行動を変え、成果を生み出す66の法則 『EQ こころの鍛え方 行動を変え、成果を生み出す66の法則』東洋経済新報社

 感情のマネジメントというと、イチロー選手をはじめとするスポーツ選手がよく引き合いに出されます。ゴルフやフィギュアスケートなどを見ると、感情が動作に強い影響を及ぼすのがよく分かりますね。

 感情の動きは、動作だけでなく言動にも表れます。感情に気を配らなければならない点では、われわれ社会人も彼らと同じです。ましてやマネジャーは、自分の感情だけでなく他者の感情を、ひいては組織の感情をくんでいくことが求められます。

 「感情に気を配る」や「感情をくむ」といっても、それがどういうことなのかが分からなければ先に進めません。感情に関する知能は測定・開発が可能であるとする、いわゆるEQ理論は、1995年にダニエル・ゴールマンの著作によって広く知られるようになりました。今回ご紹介する『EQ こころの鍛え方』(東洋経済新報社、高山直著)は、理論と実践を2対8くらいの比率でブレンドした、かなり実践色の強い入門書です。この本を千本ノックに例えている著者は、EQジャパンの高山直社長です。

 まず、著者が依拠しているEQの定義を確認しておきましょう。これはピーター・サロベイ博士(エール大学)とジョン・メイヤー博士(ニューハンプシャー大学)がEI(Emotional Intelligence)として提唱しているもので、EQを4つの能力に分けて定義しています。

1.自らの感情の状態を知覚する能力

2.思考の助けとなるよう感情を把握し、自ら感情を生み出す能力

3.他者の感情の状態や、感情に関する知識を理解する能力

4.感情面や知的側面での成長を促すために、感情を調整する能力


 本書ではこの枠組みを多少整理した上で用いています。

 われわれはみな感情を持っていますので、これらの能力をいつも大なり小なり働かせています。本書の前半では、自分がこういった能力をいつどのように働かせている(あるいいは働かせていない)のかを知る手掛かりを提供してくれます。

行動と感情はつながっている

 自分がどのように感情に関する能力を使っているかを知ること自体、なかなか容易なことではありません。著者も、さきに引用した両博士の言葉として「自分のEQを知ることで、すでにEQの70%は開発できている」と記しています。

 すべてを把握することはできないとしても、すこしでも自分の感情の癖をつかめれば、それを矯正したりさらに伸ばしたりする努力ができます。本書はそのためのヒント集です。

 では、どのような考え方でEQを伸ばしていけばよいのか。著者の提案を引用します。

1.感情の大切さを知る

2.感情に注目する

3.感情に賢くなる

4.自分のEQを知る……自分の感情のクセを知る

5.行動の型を覚える……感情の使い方を知る

6.実行することで体に教え込む……行動してみる

7.それを習慣化する(クセにする)……自動化する

8.EQを伸ばす


 わたしが個人的に肝だと思うのは、5の部分――「行動の型を覚える……感情の使い方を知る」です。本書には「人のあらゆる行動は感情に影響を受けています。また同時に、行動することで感情を変えることができます。EQ能力開発の考え方は、この原理を応用したものです」と書かれています。

 感情を調整するといっても、感情は目に見えません。しかし行動は目に見えますし、自覚すれば変えることもできます。

 本書で提案されているのは「意識して“明るい言葉”を使う」「元気よく大きな声で話してみる」といった、一見簡単なエクササイズばかりです。しかし、簡単だからいつでも実行できるとは限りません。

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