世界で勝つ 強い日本企業のつくり方

10年後では遅い――アジア進出を図るECナビの狙い世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(1/2 ページ)

中国で高級ホテル専門のオークションサイトを展開するなど、アジア進出に意欲を見せるECナビの宇佐美社長に話を聞いた。

» 2010年01月07日 08時00分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 価格比較サイトを運営するECナビは、ほぼ100%中国人消費者をターゲットにしているという高級ホテル専門オークションサイト「慢慢走」を2007年から運営している。現在、同社の海外売上比率は1%未満だが、将来的には50%を目指すという宇佐美進典社長に、アジア戦略について聞いた。

中国で高級ホテル専門のオークションサイトを運営するECナビの宇佐美社長

ITmedia 中国およびベトナムで事業展開していますが、海外に出ようとする動機は何ですか。現在のビジネスの状況と絡めて教えてください。

宇佐美 広告売り上げは9月に底を打ちました。「巣ごもり消費」といわれる中でネット通販が伸びていることに伴い、価格比較サイト「ECナビ」のページビューも昨年対比30%伸びています。「1円でも安く買いたい」という消費者の思いは強いです。

 海外でのビジネスについては、人口減少を迎える日本では必須と考えています。現在は海外売上比率は1%未満ですが、10年後には50%にもっていく必要があります。そのためにはもう始めないといけません。10年後では遅いのです。

 もともと海外ビジネスを志向していたのも事実です。当初は米シリコンバレーで事業を開始しましたが、今一歩勝てるイメージが持てませんでした。米国で成功するための「とっかかり」のようなものがなかったのです。そのとき、昔の知人と中国でのビジネスをしようという話が持ち上がり、それをとっかかりにして、2007年5月に中国で慢慢走を開始しました。

 中国には、経済成長に伴い、20、30代の比較的経済的な余裕を持つ「ニューリッチ層」と呼ぶ人たちがいます。慢慢走は、ニューリッチ層をターゲットに、上海の4つ星以上のホテルと提携し、夜景やスパ、記念日の演出などを組み合わせた新たなサービス提供を売りにしています。だいたい1泊500〜600元が平均的で、日本の感覚では4、5万円というところです。慢慢走の売上高は右肩上がりで、単月黒字を達成しています。

ITmedia 中国でビジネスが順調に伸びている要因は何ですか?

宇佐美 現地の人に任せることです。ECナビは慢慢走の50.1%の資本を所有していますが、合弁している中国企業に多くの権限を委譲しています。例えば、日本語を話せない中国人が日本に突然やってきてビジネスをしようとしても、おそらくうまくいかないことは想像できるでしょう。中国では、日本以上に人間関係が重要ですし、契約を結んでもどこまで信頼できるか分からない面があるのです。

 具体的に問題になるのは、ライセンスの領域です。中国でインターネットビジネスをするためにはICP(Internet Content Provider)というライセンスを取得する必要があります。ICPは中国資本の会社でなくては取得できません。

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