ソーシャルメディアマーケティングにおける最良の戦略は、企業が自らソーシャルメディア内に公式アカウントを設置して、身元を明確にしたうえで情報を発信することだ。今回は、企業の立場や規模に応じた戦略立案の方法とマーケティングの目的を明確にする指標を整理する。
従来の広告手法では、テレビや新聞といった巨大な媒体を介して、消費者に新しいブランド名や商品を告知してきた。Webはその補足として、より詳細な情報を掲載する場所だった。テレビCMでWebサイトのドメインを連呼されるようになった後、テレビCMからWebへの導線は「続きはWebで」「続きは○○というキーワードで検索して」というメッセージに変わった。検索連動型広告の黄金期の到来だ。
そして、Twitterが本格的に普及し始めた2009年、状況は再び変わり始めた。
Web1.0時代におけるWebのトラフィックの発生源は、ポータルサイトに記載されたリンクや自分の手で入力するURLだった。Web2.0時代になると、主役は検索とキーワードに移った。そして今、第三のトラフィックの源泉として、ソーシャルメディア上で引用されるリンクにスポットが当たっている。具体的には、Twitterにおける「RT(リツイート)」という他人のコンテンツの引用手法が該当する。
企業がTwitterを軸にしたソーシャルメディアマーケティングを実施する場合、基本的な手法は、多くの利用者がRTをするコンテンツを作ることにある。
戦略は、軍事力の大きさや兵力の数、置かれた立場などを考慮して、臨機応変に立案していかないといけない。ソーシャルメディアマーケティングの原則は、戦略を状況に合わせることだ。状況を戦略に合わせる硬直的な戦略を取ってはいけない。
ソーシャルメディアマーケティングを立案するマーケッターも、自社の規模やポジションと市場の状況に沿って、マーケティング戦略を立案していくことが求められる。
ここで、ソーシャルメディアを駆使したマーケティング活動を展開する企業向けに、4つの戦略の用法を提唱したい。
市場リーダーが「ゲリラ戦」を選択することが必要な場合もあるが、その逆はない。中小企業が「防衛戦」の手法を選んでも、失敗するだけだ。「防衛戦」と「直接対決戦」の戦略には比較的大きな資金が必要であり、ベンチャー企業や中小企業はこれを用いてはならない。資金がないのに、大きな広告費を計上して大企業に挑むのは愚の骨頂だ。それぞれのポジションに合った選択肢を選ぶ必要があるだろう。
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