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ドジっ娘リーダー奮闘記:ワクワクさせてよ――目標設定の極意 (1/2)

目標は、組織全体からチームに与えられるものと、チームが自発的に考えて決めるものがあります。自分たちで決める目標はどのようなものが良いのか、しんこちゃんと一緒に学びましょう。


 今期も後半にさしかかろうというある日、新米リーダーしんこちゃんが先輩リーダー輩田(やからだ)さんの席にオズオズと向かっていきました。

イラスト:本橋ゆうこ イラスト:本橋ゆうこ

しんこちゃん 輩田さん。あのー、相談に乗っていただきたいことがあるのですが、お時間いただけますでしょうか?

輩田さん おや、コソコソやってきてどうしたんだい? もしや、また何か失敗したのかな。そんなときは、ウジウジしたりメソメソしたりしても何も変わらないぞ。ん、違う、失敗したんじゃないって? 失敗じゃなくて相談ということは……ハッ!

 しんこちゃん、恋をしたんだね! それで胸がドキドキしてどうしようっていう相談だね!

しんこちゃん ああああ、そんなに大きな声を出さないでください。相談したいことは、残念ながらそんなウキウキするような内容ではありません。

 実は、そろそろ来期のチーム目標を立てたいのですが、行き詰ってしまって。輩田さんにアドバイスをいただきたいのですが、相談するにはちょっと早いかなと思って。それで、ついオドオドしてしまっただけです。

輩田さん そういうときはもっと堂々としていいんだぞ。リーダーにとって目標設定はとても大切だし、早めに考えるなんて良い心掛けじゃないか。そういう相談はジャンジャンしていいんだぞ。

 ほっとしたしんこちゃんは輩田さんと会議室に移動し、要約をプリントアウトした用紙を渡して説明を始めました。

しんこちゃん 来期の目標ですが、ノルマはこのぐらいになると想定されるので、それを達成するためには開発の品質向上が良いかな、と思いました。具体的には、現在よりも品質チェックの頻度を上げて、人数も倍にして……。

輩田さん ストップ、ストップ、ストーップ! しんこちゃん、目標というのはまず「どうなりたいか」を示さないと始まらないんじゃないかな。自分たちが何を目指している、ということをはっきりさせないと。細かい戦術の前に、まず戦略だよ。

しんこちゃん 何を目指しているのかというと、お客さんに喜んでもらって、それで繰り返し仕事をいただけるような関係を作ることです。

輩田さん うむ、優等生的な答えだな。ではそうなると、しんこちゃんやチームのメンバーは何がうれしいのかな?

しんこちゃん そりゃあ、仕事を獲得する苦労が減りますし、業績が良くなれば評価も上がって待遇向上も期待できます。

 だからわたし、品質向上が良いと思ったんです。品質が向上すればお客さんが喜び、追加発注がいただけてノルマも達成できる。そうすれば評価が上がってわたしたちの待遇も良くなる。そのためには耐えて耐えて我慢して、少しぐらいつらくても歯を食いしばって、地道にコツコツやっていこうって。

輩田さん しんこちゃん、目標はそんなつらいものではない。

 わたしはね、目標はみんながワクワクできるものであれと考えているんだ。自分たちも周囲もワクワクできるものであれば取り組んでも楽しいし、周囲も応援したくなるだろう?

しんこちゃん 仰ることは分かります。でも、あまりにも現実離れした目標を立てたら、「どうせ無理」となりませんか?

輩田さん たとえ現実離れしているように見えても、途中のポイントさえ分かっていれば、1歩1歩近づこうという気持ちが起きるものだ。ワクワクできるものであれば現実離れしていてもいい。そのかわり、そこにたどり着くためには、まず何をクリアしなければならないか、その次は何か、という小目標を考えなければならないね。それが戦略だ。その上で具体的に何をするかというのが戦術だ。具体的な戦術ほど臨機応変に変えていくことも大切だが、目標はそんなにしょっちゅうブレてはならないんだよ。

 そして目標は、今できることや、その単なる延長では駄目なんだ。今できないことにチャレンジするからこそ、価値があるしワクワクする。駄目な思考パターンは、「いままでこんな感じだったから、来期は少しプラスしてこんな程度でいいか」という考え方。そういう考え方だと、メンバーにとっては年々ハードルが高くなるだけで、だんだんつらくなっていく。

 リーダーはみんなの心に火を付けることが大切な役割なんだよ。そのためには明るい未来を感じられるような、ワクワクできる目標がとても大切だ。「わたしたちのチームはこういう姿を望んでいる。そのためには、今ここまで行きたい」という考え方だと、メンバーも夢を持てるだろう? わたしがしんこちゃんたちに示している目標も、そうやって考えているんだよ。

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