店舗事業者向けにレジ/タイムカード/ERPを自動連携ユビキタス特区事業の成果をデモ

アマノ、CXDネクスト、スマイルワークスの3社は、NTTデータと共同で参加した総務省ユビキタス特区事業で得られた成果をデモ。中小の店舗事業者向けに、PCレス化されたERP環境の商用提供を目指す。

» 2010年02月12日 20時10分 公開
[石森将文,ITmedia]

 アマノ、CXDネクスト、スマイルワークスの3社は2月12日、NTTデータと共同で参加した総務省ユビキタス特区事業「ASP・SaaS連携の開発・実証項目(POS-販売管理/勤怠―給与連携)」の実証実験で得られた成果について、デモンストレーションを行った。

 本実証実験は、特に中小の店舗事業者(飲食店など)の業務効率改善を目的とするもの。現状、店舗での業務プロセスには勤怠情報/販売情報/人給情報を有機的に連携させる仕組みがなく、転記や再計算、突合に手間と時間が掛かっているという実態があるという。ネットワーク型の店舗向けERP導入を検討しても、店舗の通常業務に「PCを起動し、ブラウザを立ち上げて情報を入力/同期する」というプロセスを組み込むこと事態に無理がある。「今回の実証実験では、店舗では一切のPC操作を行わずとも、会計処理が自動化できることを目指した」(説明に立ったスマイルワークスの坂本恒之社長)

 実験を行う製品としては、アマノのタイムレコーダー、CXDネクストのインターネット対応レジスター、スマイルワークスの中小向けSaaS型ERPが用いられ、デモを通じ、「レジスターから自動的に売上データを販売管理システムへ連動させ、販売管理データ(売上・仕入など)を会計システムに自動仕訳連動させる」様子や「タイムレコーダーから自動的に打刻データを勤怠管理システムから給与計算システムへ連動させ、給与データを会計システムに自動仕訳連動させる」様子が示された。

 今回の実証実験で言えば、店舗で従業員がタイムカードやレジ打ちをする(通常業務をこなす)だけで、ERPにおける販売・会計・給与が自動算定され、併せて勤怠管理もできることになる。これらはスマイルワークスの提供するSaaS型ERPにより可視化され、経営者は事業の実態を把握できるとともに、労働争議などに際しての証跡にもなる。

データの連動と仕訳が自動化される模式図 データの連動と仕訳が自動化される模式図

 レジやタイムレコーダー、SaaS型ERPに入力されたデータは、いったんサーバに集約され、あらかじめ設定された感覚でパッチ処理される。ここでは各事業者のデータが混在するわけだが、NTTデータがユビキタス特区事業の枠組みで開発した「電話番号を企業のマスターIDとする仕組み」によって企業コードやサービスごとのフォーマットが適正に変換され、複数のASPやSaaSを連携させられる。この仕組みは「企業ディレクトリ」と呼称され、NTTデータでは「POS-販売管理/勤怠―給与連携」に限らず、行政機関での利用も含め、広く活用の可能性を探っているところだという。

 「2010年度(2010年4月から2011年3月)のどこかでは、商用化に向けて何らかのアナウンスをできるよう、各社と取り組んでいる」と坂本社長は話す。他ベンダーの参入にも「基本的なプロトコルはXBRLであり、参入障壁は高くないはず」(坂本社長)という。とはいえ市場投入に際しては、販売およびサポート窓口を一元化できるか否か、といった課題もある。また中小事業者はコストにシビアなこともあり、訴求力ある価格を設定できるかどうかも、普及のカギとなりそうだ。

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