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» 2010年02月17日 07時00分 UPDATE

世界で勝つ 強い日本企業のつくり方:宋文洲が伝える日本復活へのメッセージ (1/4)

バブル崩壊から20年近くを経てもなお、日本にはかつての元気がない。激しさを増すグローバル競争の中で日本が活力を取り戻すにはどうするべきか。ソフトブレーンのマネージメント・アドバイザーを務める宋文洲氏は「格差」「多様性」「ベンチャー」「変化」の観点から「自信を取り戻してほしい」と呼び掛ける。

[構成:國谷武史,ITmedia]

「格差」を現実として受け入れる

宋文洲氏

 中国に注目している人たちから「中国の日常はどんな雰囲気ですか」とよく質問される。わたしは長いこと日本で暮らしていて、北京で暮らすようになったのはこの半年ほどなので、正直に言えばよく分からない。13億人もいれば日本と同じようなところもあるし、違うところもある。

 しかし、「中国はどんなところか」という疑問がそもそも中国のとらえ方を間違えているよ。中国は日本人が考える国という概念ではとらえきれない。いわば、たくさんの国が1つになったようなイメージだ。当然だけど、中国は日本人が考える国とは異なる。地方ごとに特徴があり、格差も大きい。中国の生活を一言で表現することはできないし、北京はどうだとか、四川はどうなのか、チベットはどうなのかといった視点でとらえるべきだ。

 北京や上海、大連、青島といった都会について紹介すると、今はわたしが日本へ来た1985年ごろに似た感じだ。10年ぐらい前からテレビや冷蔵庫、マイカーが各家庭に入りはじめ、特にマイカーはこの2〜3年で広く普及するようになった。2008年の北京五輪前後からは生産台数が急増し、米国を追い抜いてしまった。米国の何倍もの人口がある中国では、今後は地方や農村にもマイカーが広がるだろう。日本も地方では自動車がないと生活がしにくいことを考えれば分かるように、中国もいずれ同じようになる。

 中国市場は、今後しばらくは飽和することなく経済成長が続くだろう。しかし、都会と地方の格差は10年たっても、20年たっても埋まらないのではないか。中国は1つの国のようになってから歴史がまだ浅いので、格差の問題はなかなか解消しない。自由経済が浸透しつつあり、中国の内陸部へも投資が広がって、将来は地域ごとの格差が少しずつ小さくなっていくかもしれない。それでも個人間の格差はなくならないだろう。

 日本人は、格差ということを聞くと毒薬を飲まされたかのように、すぐに悪いことだとイメージしがちだ。地方にいても都会と同じ生活レベルや収入でなくてはいけないという雰囲気がある。でもそうしたければ移住や出稼ぎに行けば良いというのが中国人の感覚だ。実際に出稼ぎに行く人間は給料がいいからと都会に出かけて行くが、彼らに政府の保障はない。ホテル代を払いたくないからと街頭で寝泊りする人間もいる。日本人からは秩序がないように見られるけど、わたしから見ればとてもたくましい。生活が貧しいことをよく国や政府の責任にしたがる日本人がいるが、中国人は言わない。

 逆にわたしから見れば、日本人がそのように言う感覚が分からない。厳しい環境で生活するかどうかは個人的なことで、不満を感じるなら出て行けばいい。日本人はこのような問い掛けをしないのが不思議だ。かつての中国では地方から都会に行くことを制限されていたけど、今は自由になった。すべて自分で責任を負うという意識を持っている。

 日本の社会はやさしいと思うが、甘いとも言える。何の努力もしていないのに、国の責任だと意見する人もいる。半年ほど中国で暮らしてみて実感するのは、中国人は本当にたくましいということだ。国に頼ろうとはしないのだから。

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