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» 2010年08月30日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:続・クラウド時代のビジネスモデルの行方 (1/2)

企業向けクラウド事業におけるビジネスモデルについて、大手ITベンダーの経営トップなどから発言が相次ぐ中、明らかになってきた対立の構図に焦点を絞った。

[松岡功,ITmedia]

垂直統合モデルに注力するシステムベンダー

 「クラウド時代のビジネスモデルの行方」と題した本連載のコラムを7月12日に掲載したが、今回はその続編のつもりで書く。

 同コラムでは、企業向けクラウドコンピューティング事業におけるビジネスモデルとして、システムベンダーは同事業に必要な道具立てをできるだけ自前で用意する垂直統合型を目指す一方、ソフトウェアベンダーはパートナー企業との連携によって水平分業展開を図ろうとしていることを、それぞれの経営トップの発言を基に紹介した。

 核心部分の発言だけを改めてピックアップしてみると、垂直統合型を目指すITベンダーの内容はこうだ。

 「クラウド事業における当社の最大の強みは、この事業に必要なコンピューティングやネットワーク、運用管理などの技術や製品を取りそろえた垂直統合のビジネスモデルによって高い信頼性を提供できることだ。今後もこの垂直統合モデルを一層強化していく」(富士通 山本正已社長)

 「最近になって、複雑化したITの管理を安心して任せられるクラウドに早く移行したいというユーザーの要望が一層高まってきた。ただ、クラウドに移行する際、異なったベンダーのさまざまな製品やサービスを、自分たちで組み合わせて最適なソリューションにするのはリスクが高すぎると見るユーザーも増えてきた。オラクルはそうしたニーズに応えたい」(日本オラクル 遠藤隆雄社長)

 実際、企業向けのクラウド事業を総合的に推進する米国のIBMやHewlett-Packard(HP)、Sun Microsystemsを買収したOracleなどは、垂直統合型のビジネスモデル構築に注力している。これは日本の富士通やNECなども同じスタンスだ。このところのIntelによる情報セキュリティ大手McAfeeの買収や、HPとDellによるストレージベンダー3PARの争奪戦といった米国での動きも同じ流れにある。

 一方、水平分業展開を図ろうとしているソフトウェアベンダーの経営トップからは、こんな発言があった。

 「当社の事業展開における最大の強みは、パートナー企業とのエコシステムにある。これはクラウド事業でも同じだ。ハードウェアとソフトウェアを保有するベンダーは、自社ですべてのサービスを提供しようとしているが、当社のソフトウェアは数多くのハードウェアに搭載されており、ユーザーに幅広い選択の自由を提供している」(マイクロソフト 樋口泰行社長)

 「先日、大手企業のCIO(最高情報責任者)の方から、大手ITベンダーの多くが垂直統合モデルを志向するようになると、こちらは選択の自由が奪われてしまうので困る、との話を聞いた。自由な選択のニーズに応えるビジネスモデルも求められていると強く感じた」(シマンテック 河村浩明社長)

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