連載
» 2010年09月24日 08時00分 UPDATE

デジタルPRの仕掛け方:タブレット端末で変わる「人と企業」の関係性 (1/2)

企業と消費者が直接接触する機会は、今後ますます増えていく。iPadのようなタブレット端末、そしてその上で稼働する専用アプリは、企業のマーケティングやプロモーションを大きく変える可能性を秘めている。iPadの活用事例を中心に、企業コミュニケーションの未来を考察する。

[野崎耕司(ビルコム),ITmedia]

 本連載「デジタルPRの仕掛け方」では、デジタルPR(デジタル領域に精通したプロモーション手法)の定義や事例を紹介してきた。最終回は、「2011年のデジタルコミュニケーション」というテーマで企業のマーケティングやプロモーション活動の未来を考察してみたい。

 テレビや新聞、雑誌といったメディアがデジタル化していく。家でテレビを見る、電車に乗る、街を歩くといったライフスタイルの中で、われわれは好むと好まざるとにかかわらず、デジタルを介して情報やコンテンツに接触する。この変化をつかむことは、企業と消費者のコミュニケーションを考えるためには不可欠だ。

iPadが変えるメディアの接触時間

 タブレット端末の登場は、ライフスタイルのデジタル化をけん引する。特に注目したいのが、2010年4月に米国で発売され、世界で327万台を売り上げているiPadだ。

 ビルコムは6月と8月に、iPadの利用者400人強に利用実態調査を実施した。利用者は女性が32.8%(男性は67.2%)となった。IT関連の製品の発売初期段階としては高い数値だ。世代分布では、30代の37.1%をピークに、20〜40代の利用者が全体の85.2%を占めた。独身から家族を持つ世代にまで利用されているiPadは、今後幅広い層に普及する可能性を秘めている。

dp-05-01.jpg iPad利用者の世代分布(出典:第1回iPad所有者利用実態調査:2010年6月ビルコム調べ)

 また「iPadを利用し始めて削った時間」を聞いたところ、「ノートPCを使う時間」(46.1%)、「テレビを見る時間」(36.7%)、「携帯電話を使う時間」(30.3%)という回答が3割を超えた。

iPadを利用し始めて削った時間 iPadを利用し始めて削った時間(第2回iPad所有者利用実態調査:2010年8月ビルコム調べ)

 調査結果からは、iPadの利用によって、PCや携帯電話といった既存端末との接触時間が減少する傾向にあることが分かった。今後はiPadを含むタブレット端末が、利用者のマスメディアの接触時間をさらに奪っていくことも考えられる。

タブレット端末の未来

 米Microsoftやシャープ、韓国のLGエレクトロニクスなどの名だたる企業が、2010年度中にタブレット端末を発売する予定だ。市場全体が盛り上がり、タブレット端末の普及がさらに加速することも想定される。タブレット端末に対応したコンテンツも増えており、電子書籍としての雑誌コンテンツやテレビ、ゲーム関連のコンテンツが充実し始めている。

 海外に目を転じると、見逃したテレビ放送のアーカイブ動画を提供する専門チャンネル「HuluPlus」や、オンラインDVDレンタル会社「Netflix」のiPadアプリが有名だ。フランスのゲーム開発・配信会社Gameloftが提供するiPadアプリ用ゲームは、映画「アバター」や「シュレック」といった人気のコンテンツがそろっている。

 良質のコンテンツは利用者を集める。利用者が増えれば、それに目を付けた介入事業者が増え、企業間競争が加速し、さらに良質なコンテンツが生まれる。iPadを中心としたタブレット端末の周辺には、こうしたプラスの循環が既に回り始めている。

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