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» 2011年03月28日 14時28分 UPDATE

ITmedia エンタープライズ書評:“モテるには「インサイト」が必要だ” ── リサーチのエキスパートが解き明かす、ソーシャルネットワーク時代の傾聴戦略

「ITmedia エンタープライズ書評」第13回。今回は『次世代マーケティングリサーチ』をご紹介します。なお、本記事でご紹介する書籍は、抽選で2名の方にプレゼントさせていただきます。詳しくは記事下の応募欄をご覧ください。

[小柴豊,ITmedia]

書籍プレゼントのお知らせ

今回ご紹介する『次世代マーケティングリサーチ』(ソフトバンククリエイティブ)を抽選で2名様にプレゼントします。ご希望の方は、記事下のフォームよりご応募ください。


 この本、『次世代マーケティングリサーチ』ってタイトルなんだけど、頭が痛くなる数式とか眠気を誘う理論なんかは出てこないから、安心していいよ。じゃあ何が書いてあるかっていうと、簡単に言えば「大切な誰かのこころの中を理解するための、21世紀的方法論」って感じかな。なんたって第1章第1節の見出しが “モテるには「インサイト」が必要だ” だからね。マーケターじゃなくても気になるだろう?

 著者の萩原さん曰く、マーケティングリサーチは広告と表裏の関係にある(“企業の思いを消費者に届けるのが広告なら、消費者の思いを企業に届けるのがマーケティングリサーチ”)。とはいえ、表通りを肩で風切って歩く広告マンに比べると、リサーチャーって影が薄いっていうか、「ワム! のジョージ・マイケルじゃない方のヒト」みたいな存在だったよね。今までは。

 でもこれからは違う。企業からの一方的な宣伝メッセージなんて、最近じゃスキップするかスパムフォルダ直行だよね。情報をフルコントロールできなくなった企業は、まず思いを届けたい相手を深く理解して“消費者自身も気づかなかった欲望”を読み取らなければいけなくなった(これが“インサイト”)。口ベタでも聞き上手な、リサーチャーの時代が来たってことだよ!

 だけど浮かれるのは早い。むしろ“10年後には今のようなマーケティングリサーチ会社はすっかりなくなっているかもしれない”と、萩原さんは警告する。なぜか? ライフスタイルの変化などで伝統的な調査実施が難しくなったと同時に、クックパッドなど“リサーチとは関係のないネットサービスや先端的な技術を提供しているあらゆる会社”が有用な消費者データを提供し始めたからだ。代表性と平均値を重視する伝統的調査は、マスプロダクション&マスコミュニケーション時代に最適化された手法だったのかもしれないね。

 では“次世代”のマーケティングリサーチは、何を調査するのか? 萩原さんは大きく2つの方向性を示唆している。

1)一人ひとりのこころの中を、より深く理解する

 消費者心理を調べるために、以前からグループインタビューなんかが使われてきたわけだけど、それは“調査する側と調査される側、双方の匿名性によって成り立っている” ものだった。でもどこの誰かも分からない相手に、本音の話なんてできるかい? 萩原さんは“遠くから消費者にメッセージを投げかけるというよりは、自分から消費者に近づき素性をさらけだして距離を縮める方がいい”と言う。質問する側>される側という縦の関係から降りて、“パートナーとしての消費者”と対等に話さなければ、今の時代のインサイトは生まれないってことかな。

2)ネット上に集積するメガデータ=ライフログを解析する

 つぶやき、友人関係、購買履歴、位置情報など、現在ネット上には様々なライフログ(消費者情報) が集積している。その情報量と集積スピードは“情報爆発”と呼ぶにふさわしいから、これらメガデータを対象にログ解析やテキスト解析などの技術を適用することで、“購買プロセスそのものがマーケティングリサーチの代替機能”を果たす“テクノロジードリブン・リサーチ”の世界が拓ける。事実&行動を分析対象とするライフログ解析なら、意思決定に役立つ客観的な情報をリアルタイムに提供できるかもしれないね。ちょっと『虐殺器官』のSNDGA(ソーシャル・ネットワーク・ダイレクテッド・グラフ・アナリシス:社会網有向グラフ解析)みたいな話だけど。

 しかし「一人ひとりのこころの中を、より深く理解」しながら「メガデータを解析」しろって言われても、ミクロとマクロを同時に調査するみたいで、ちょっと途方に暮れるよね。でも大丈夫。そのための方法論を古今東西の事例や文献を絡めて具体的に紹介してくれるのが、この本の凄いところなんだ。エスノグラフィ、オンラインリサーチ・コミュニティ、WE Researchなど、2011年の最新かつ世界的なリサーチの潮流が、この1冊に凝縮されている。

 また萩原さんの思索はリサーチの枠を超えてソーシャルメディアやニューロマーケティング、『マイノリティ・リポート』から『江夏の21球』までカバーしているから、これはただの調査実務書じゃない。IT業界の斉藤徹さん、広告業界の佐藤尚之さんのように、リサーチ業界の立場から語ったソーシャル・ネットワーク論とも言えるんじゃないかな(関係ないけどこの3人って、みんな1961年生まれなんだって。まったく最近のおじさんは元気で参っちゃうね)。

 ということでこの本、リサーチャー/マーケターのみならず、現代社会のコミュニケーションに興味がある人なら、読んどいて損はないよ。まあほんとにモテるかどうかは、キミ次第だけどね。

募集要項
応募期間 2011年3月28日(月) 〜 2011年4月10日(日)
応募条件 アイティメディアIDの登録ユーザー
当選発表 当選された方への賞品の発送をもって、発表にかえさせていただきます
応募上の諸注意 ・キャンペーン期間中にアイティメディアIDの登録を削除された方は対象に含まれません
・当選者の権利は譲渡・換金・変更することはできません
・厳正な抽選の上、当選者の方へ賞品を発送いたします。なお、賞品のお届け先は日本国内に限らせていただきます。抽選と発送は2011年5月下旬の予定です
・お預かりした個人情報は、アイティメディアIDの利用規約とアイティメディア株式会社の 「プライバシーポリシー」に基づいて厳重にお取り扱いいたします
・住所・電話番号などが不明確な場合や、転居による住所変更や電話番号変更など、なんらかの理由により賞品がお届けできない場合は当選を無効とさせていただきます
・ご応募はお一人様1回限りとさせて頂きます。2回以上ご応募された方は、抽選対象外とさせていただきますのでご了承下さい

※アイティメディアIDに登録済みの方でも、プレゼント賞品発送のために連絡先情報の追加登録をお願いする場合があります。

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