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» 2011年04月19日 08時00分 UPDATE

ソーシャルマーケティング新時代:先進国企業の事例から見えるソーシャルメディアの特性 (1/5)

成長著しいアジアの新興国では、ソーシャルメディアが新たな情報インフラとして拡大している。日本企業がソーシャルメディアを活用して市場での優位性をどう確保していくべきか。欧米企業の取り組みを例に探る。

[岩渕匡敦, 辻佳子,デロイト トーマツ コンサルティング]

 本連載を始めた2月中旬と時を同じくして、アラブ諸国での民主化運動が始まった。チュニジア、エジプト、リビアと広がるこの中東革命の火は、ソーシャルメディアから起こったと言われている。ソーシャルメディアが持つ“チカラ”が、これまでの常識を覆すほどの大きさと可能性を有していることを改めて実感させる事件となった。今後、ソーシャルメディアによって政治、経済、産業などあらゆる分野に変化の波が押し寄せるだろう。

 アラブ中東地域でのソーシャルメディアの普及には目を見張るものがあるが、前回の記事に示した通り、アジア新興国ではそれを凌ぐほどの勢いでソーシャルメディアが普及している。このソーシャルメディアをいかに活用して、成長著しいアジア新興国の市場で日本企業が大きな優位性を確保するのかというのが本連載のテーマである。今回は、この考察の一助としてソーシャルメディアの活用が最も進む欧米企業の取り組みを見ていきたい。

先進国市場におけるソーシャルメディア活用黎明期

 言うまでもなく欧米や日本などの先進国市場では、これまでマスメディアを中心に情報流通や広告宣伝などが発達してきた。テレビ、ラジオ、新聞といったマスメディアを用いて、商品やサービス、あるいは自社を宣伝するというマーケティング活動が長年に渡って行われ、心理学や行動学の示唆を加えながら発展し、成熟してきた。そんな中で、ソーシャルメディアが現われた。もちろん、これは一夜にして突如現れたわけではなく、インターネットの普及と発展の中で登場したが、短期間での急速な普及と発展は突如として現われたという印象を与える。

 このソーシャルメディアに対し、欧米企業の多くがマーケティング活動での活用を考え、これまでにも多くの取り組みがなされてきた。多くの日本企業もソーシャルメディアの活用に取り組んでいる。各企業の取り組みを余すところなく紹介することはできないため、1つの典型的な事例を取り上げたい。

 ヨーロッパの某タイヤサプライヤー企業では、Facebook上にアカウントを設け、環境への取り組みなどを紹介している。また、Twitterでは販促キャンペーンなどの告知をタイムリーに流し、より詳細な情報に誘導する仕組みを取っている。さらに、YouTubeでは動画配信の特徴を生かして、モータースポーツへの取り組みをアピールし、画像共有ができるFlickrでは自社ポスターなどをアップロードしている。そして、これらの取り組みに対するユーザーからのフィードバックを、自社の製品やサービス、プロモーション活動に反映しようとしている。このような取り組みは、企業のソーシャルメディア活用における1つの典型的な形と言えるだろう。

 こうしたソーシャルメディアの活用は、マスメディアによるマーケティング活動を補完する側面が強いように見受けられる。マスメディアでは伝えられない詳細な情報をFacebook上で伝える、マスメディアでは困難なタイムリーな情報発信をTwitterで実施する、あるいはマスメディアよりソーシャルメディアを重視するようになった消費者に情報を届けるためにソーシャルメディアを使うというのは、マスメディアによるマーケティング活動を補完していると言えるだろう。また、自社のマーケティング活動に対するリアクションの把握という点でも補完的な機能として活用されているようだ。

 このようなソーシャルメディアの活用を、仮に「マスメディア補完型のソーシャルメディア活用」と呼ぶならば、これは欧米や日本などマスメディアが成熟した市場における形態であり、こうした市場におけるソーシャルメディア活用の黎明期における活用形態だろう。そして、この黎明期における活用形態を抜け出し、新たな活用形態を築こうとしている企業が現れ始めた。

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