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» 2011年04月25日 12時00分 公開

中堅・中小企業 逆境時の経営力:【第1回】経営戦略とIT (1/3)

新連載「中堅・中小企業 逆境時の経営力」では、グローバル展開、組織論、IT戦略など、さまざまな切り口から中堅・中小企業の進むべき道を模索していく。

[木村典宏,日本総合研究所]

 経済発展の舞台が、先進諸国から新興諸国に移り変わる中、日本は低位の成長性で苦しんでいる。特に、中堅・中小企業においては、持ち直しは依然として厳しい状況である。

 このような外部環境が厳しい時代に、経営者は企業活動における基本動作を理解した上で、着実に実行する必要がある。時代に応じて経営課題は変わっていくが、経営者が持つべき視点の根幹として、常に変わることのない普遍的な思考法が重要である。

 本連載では、多数の中堅・中小企業を支援してきた立場から、経営において不可欠な原理原則を押さえ、普遍的な思考法の醸成に有効なテーマを5回にわたり提言していく。読者の抱える課題解決の糸口や新たな活動への突破口を見出していただければ幸いである。

 第1回目は、中堅・中小企業が限定された経営資源を最大限活用するために不可欠な情報システムに対する取組方針を取り上げる。ここでは、自社のビジネルモデルと情報システムの影響度合いがIT戦略の鍵となることを提言する。

 第2回目は、従来のIT戦略には存在しなかった新たなICTサービス分野について取り上げる。特に近年急速に注目されつつあるクラウドサービスを取り上げ、サービスとしてのICT利用が企業活動に与える影響、および中堅・中小企業が優位性を発揮できる可能性として何が鍵となるかについて提言する。

 第3回目は、国内市場の成熟化による閉塞(へいそく)感を打開するために取り組むべきグローバル戦略のあり方について述べる。特に日本の企業において最も重要となる中国進出を題材とし、中堅・中小企業として海外マーケット進出時に押さえておくべき視点を提言する。

 第4回目は、さまざまな経営課題に対応する際に、中堅・中小企業では常に問題になる組織や人材戦略のあり方について取り上げる。組織や人材は、一足飛びの改革や外部の力を利用できるような分野ではないため、自社でしっかりと時間を掛けて作り上げていく必要がある。ここでは、限られた経営資源の筆頭である組織および人材を弱みから強みに変える際の重要な視点について提言する。

 最終回は、さまざまな経営課題に対応する際に、必要となる改革・改善プロジェクトへの取り組み方法を論じる。日常業務を離れて行うプロジェクト活動では、日々の業務活動と比較して、求められる思考法や成果が異なることを理解することが鍵となるのだ。

ヒト、モノ、カネ、そして情報

 さて、第1回の本稿では、企業におけるIT戦略のあり方について言及する。企業活動を行う上で、重要な経営資源とは従来からヒト、モノ、カネと言われてきた。昨今では、これに加えて技術の発展により「情報」が重視されている。顧客に価値を提供するために必要となるモノや、その対価としてのカネ、それらを動かすヒト、そして、その人が判断し行動する際の基礎となる情報を管理することによって、企業活動の基盤を形作ることが可能となる。

 特に、中堅・中小企業は、大企業と比較した場合、一般的に経営資源が乏しいといわれるが、情報は企業規模の影響を受けにくい性質がある。誰に(who)、何を(what)、いつ(when)、どこで(where)、どのように(how)、販売したかなどの実績情報については、記録を徹底することで、詳細な情報を得ることが可能である。なぜ(why)については、残念ながらITの力だけでは的確な情報を取得するのは難しく、人とプロセスによる独自の仕組みが必要となる。

 結局、IT戦略とは経営資源としての情報に対して、どのような手段を用いて、企業活動に役立てるかが重要なポイントである。情報システムの技術面の方向性は、システム構築のための手段選択に関するものであり、副次的なテーマという位置付けである。

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