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» 2011年09月26日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:ビッグデータ時代の悩ましき問題

企業環境に存在する膨大なデータ群を指す「ビッグデータ」が大きな話題となっている。ただ、その活用を促す話は多いが、一方で悩ましき問題も浮かび上がってきている。

[松岡功,ITmedia]

クラウド時代の新たなビジネス機会

 ビッグデータ —— 誰が最初に言い出したか、はっきりしないらしいが、何のひねりもないこの言葉が、今やIT業界の重要なキーワードになりつつある。考えてみると、ひねりようがないのかもしれないが……。

 野村総合研究所(NRI)が先頃まとめた「ITロードマップ(ビッグデータ編)」によると、ビッグデータとは、ボリュームが膨大であるとともに、構造が複雑化することで、従来の技術では管理や処理が困難なデータ群を指す概念だという。

 例えば、このところ利用者が急激に拡大しているソーシャルメディア内のテキストデータや、携帯電話・スマートフォンに組み込まれたGPS(全地球測位システム)から発生する位置情報、時々刻々と生成されるセンサーデータなどが挙げられるが、つまりは、われわれの日々の生活の中で生み出されるデジタルデータの全てが対象になり得ると言っていい。

 このビッグデータが昨今、ITの進化によってさまざまな分析が可能になってきたことから、新サービスの提供や自社の競争優位につなげたり、社会インフラを高度化しようという動きが、欧米を中心に盛んになってきているという。

 米国ではかねてから、Google、Facebook、Amazon.comといったネット系企業がビッグデータを活用しており、中でもクラウド基盤上にある膨大なWebログを分析することで、例えば、ある商品を買った顧客に別の商品を薦めるようなリコメンデーションサービスを展開しているAmazonの仕掛けには当初、驚いた人も少なくないだろう。

 ちなみにこうしたサービスは、個人の履歴データだけではなく、これまでの全ての顧客に関する膨大なデータを蓄積・分析し、その傾向をとらえて、その人に適した情報を届ける仕組みを構築することで実現している。こうしてみると、ビッグデータの分析は、膨大なデータを取り込むクラウド化の流れの中で生まれてきた新たなビジネス機会といえる。

 ではこのビッグデータ、果たしてこれからどれくらいビッグになるのか。IDCの調査によると、企業の抱える情報は今後10年で50倍に増加し、2020年には全世界のデータ総量が35ゼッタバイト(1ZB=100万PB)以上に達するとしている。

バックアップの効率化が今後の課題に

 そうした膨大なデータ量ばかりに目が行きがちなビッグデータだが、最も注目すべき点は、そのデータの中身が変化していくことだ。

 シマンテックが9月21日に開いた「ビッグデータ時代におけるストレージ管理」と題した記者説明会で、同社の星野隆義システムエンジアリング本部 技術部長がこの点に関して、IDC Japanの調査結果を引用しながら説明してくれた。

 それによると、2010年から2015年にかけて国内のディスクストレージ容量全体の伸び率が年平均45.1%と予測される中、構造化データの伸び率が同21.7%の伸び率なのに対し、非構造化データは同53.5%、複製データは同40.6%、コンテンツデポは84.7%の伸び率で拡大することが見込まれるという。

 とりわけ、今後5年間で容量全体に占める割合も倍増以上に膨らむと見られる非構造化データが、従来の技術では管理や処理が困難なデータ群の代表格である。この非構造化データの急増とともに、これまで経理情報に代表される構造化データが中心だった企業を取り巻くデータが、多様化していくことが変化の大きなポイントとなる。

 さらに星野氏は、ビッグデータ時代のユーザー動向ということで、IDC Japanの調査結果を引用しながら興味深い話をしてくれた。

 それによると、規模にかかわらず企業が2011年度のストレージ投資の重点項目として挙げたのは、1番目がデータ量増大への対応、2番目がバックアップの効率化だという。この調査結果については、同氏が説明に使った図を写真で掲載したので参照いただきたい。

 企業による2011年度のストレージ投資の重点項目。IDC Japanの調査結果を引用し、シマンテックが記者説明会でビッグデータ時代のユーザー動向を解説した 企業による2011年度のストレージ投資の重点項目。IDC Japanの調査結果を引用し、シマンテックが記者説明会でビッグデータ時代のユーザー動向を解説した。

 星野氏はこの調査結果から、「バックアップの効率化が2番目の重点項目に挙がっているのは注目すべき。ビッグデータ時代のバックアップのあり方として、ストレージを増やし続けて力任せに対応するのか、何か効率的な方法をとれないのか、多くの企業が頭を悩ませているのが見て取れる」と分析する。なお、同氏によると、シマンテックは近々、このバックアップの効率化に対応した新たなソリューションを提案する計画だという。

 確かに、日増しに注目度が高まるビッグデータだが、その活用を促す話はメディアでも数多く見受けられるものの、バックアップに焦点を当てた論議はまだ少ないかもしれない。シマンテックをはじめとした関連ベンダーは、ストレージ管理の標準化や仮想化、データの圧縮や重複排除といった最新技術を駆使して、ユーザーニーズに応えようとしている。

 星野氏の話を聞いて、1つの提案が浮かんだ。それは、バックアップを含めて企業の情報管理という観点から、「情報そのものの格付け」を行えないか、ということだ。そう思い浮かんだのは、ある経営コンサルタントからこんな話を聞いたからだ。

 「企業の情報管理力でこれから最も問われるのは、必要な情報と不要な情報、重要な情報と重要でない情報をきちんと識別できるかどうかだ。それがビッグデータ時代の企業の情報活用の優劣を決めると言ってもいい。そのためには企業内の情報を格付けする必要がある。そして、その情報の格付けは、まさしく経営判断であることを認識しておくべきだ」

 そう考えると、バックアップを含めたビッグデータの管理・活用は、企業にとって大きなビジネスの機会であるとともに、経営改革を進める格好の取り組みにもなりそうだ。肝心なのは、経営者がそれに気づくかどうか、である。

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