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» 2011年11月23日 08時45分 UPDATE

SFC ORF 2011 Report:地方自治体は事業継続できるのか

昨年に引き続き、自治体ICTサミットが開催。東日本大震災の経験を基に、災害時における地方自治体の取り組みが議論された。

[伏見学,ITmedia]

 慶應義塾大学SFC研究所が主催する「SFC Open Research Forum 2011(SFC ORF 2011)」では、現場のリーダーや専門家が議論した内容を政府に提言するような取り組みも行われている。11月22日には、セッションの1つとして「全国自治体ICTサミット2011」が開かれ、全国で約50自治体の首長が一堂に会した。

 同サミットは、自治体が主体となって進めるべき情報活用のあり方を考えることを主目的に、昨年のORFで立ち上げられた。より具体的な取り組みとしては、(1)ICTの利活用を住民の目線で進め、真に住民生活の質の向上に寄与する情報化を目指すこと(2)住民のICT利活用に関する意見の集約に努め、国の政策への反映を目指すこと(3)相互にネットワークを構築し、地域の課題解決につながる事業に継続的に取り組むこと、を声明として発表している。

 今回のサミットでは、3月11日に発生した東日本大震災に関連して、災害に強い自治体のあり方を討論した。その中で特に重点的に議論されたのが、地方行政におけるICTとBCP(事業継続計画)についてである。このたびの震災でも多く見られたように、災害時に自治体では被災状況把握や被災者支援、避難所運営など、突発的な災害対応業務が発生する。これらを処理しながら、いかに通常業務およびそれにかかわるICT基盤を復旧させるかが課題になっている。

 内閣府と消防庁が2010年4月に発表した調査によると、震度6弱以上の地震発生時に通常業務を円滑に継続できる市町村は全体の32%に過ぎず、67.6%が継続できないとした。その理由として、検討の必要性が庁内で議論されていないという回答が過半数を超えた。また、総務省が2010年11月に発表した調査では、情報システムに関するBCPを策定済みの市町村は5.8%しかないことが明らかになった。

 この点について、取り組みが先行する自治体の1つである藤沢市の海老根靖典市長は「普段から災害を想定して準備しておくことが重要。そのためにBCPを策定し、ICT部門が緊急時に何を行うかを明確にしておくことが不可欠だ。BCPを適切に運用することで災害対策により力を注ぐことができる」と強調した。

 この一環として、藤沢市は東京都杉並区と防災協定を結び、災害時における情報システムの相互運用体制を構築している。その背景には、両者の人口規模がほぼ同等であること(藤沢市:40万人、杉並区:54万人)、利用する情報システムの構成が類似していることがある。

「津波などの被害を受け、仮に行政データが無事でもシステムが立ち上げられなければそれは役に立たない。そこで災害時には杉並区のシステムを借りてバックアップデータを起動させる仕組みを作った」(海老根氏)

 具体的には、住民基本台帳の全件リストを出力するほか、被災自治体から支援要請のあった業務のうち、支援自治体で実行可能なものをサポートすることが協定に明記されている。

 ただし、全国的に見てこうした取り組み、とりわけICTにかかわる自治体間でのBCP対策は少ない。このサミットを通じて、今後も政府に対して積極的に提言していくとともに、ほかの地方自治体や民間企業などに対して働きかけていくとした。

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