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» 2011年12月06日 08時00分 UPDATE

もうサービスは止めない!:毎日11億円を売り上げる「ANA SKY WEB」システム刷新の舞台裏 (1/2)

全日本空輸は今年5月にインターネット航空券予約サイト「ANA SKY WEB」のシステム基盤を刷新。これまで割引キャンペーンの発売日には必ずといっていいほどダウンしていたシステムからの脱却を図った。

[伏見学,ITmedia]

 「国際競争力」というキーワードは、もはやあらゆる産業において無関係ではないだろう。中でもグローバル規模で日夜激しい競争にさらされている産業の1つが航空業界である。現在、全世界に航空会社は650社以上あるが、頻繁に企業の統廃合や倒産などが繰り返されている。

 また、「LCC(Low-Cost Carrier)」と呼ばれる格安航空会社の台頭によって、価格競争がよりいっそう激化。さらには、燃料費高騰や、高コスト体質という従来からはびこる業界特有の悩みなども相まって、アメリカン航空が破産法を申請したのは記憶に新しい。

 各社とも利益を上げるため、旅行者やビジネスマンといった顧客をいかに継続的に確保するか、一方でコスト効率を高めていくかという点に多大な労力を注いでいる。

1秒間に1000件ものアクセスに耐え切れず……

 そうしたビジネス環境の中、日本を代表する航空会社である全日本空輸(ANA)でも、さまざまな面で経営努力を続けている。その1つがWebサービスへの取り組みだ。顧客に対するサポート強化などを目的に、同社は早くからWebサービスに力を入れてきている。1997年にはオンラインでの航空券予約サービスを開始、1999年4月にはインターネット予約サイト「ANA SKY WEB」を立ち上げた。

「ANA SKY WEB」 「ANA SKY WEB」

 その後、時代の変化とともに商品販売チャネルは多様化し、今やインターネットによるチケット予約、購入が主流になりつつある。それに伴い、ANA SKY WEBも着実に成長。現在では、1日あたり40万ユーザーが利用し、年間販売額は4090億円(2010年度実績)に上る。これは1日で約11億円の航空券を売り上げる計算だ。今やANAと顧客をつなぐ重要なインタフェースといえよう。

 一方で、このような顧客ニーズの急激な変化などを背景に、ANA SKY WEBを支える従来のシステムでは、性能、品質、運用などさまざまな面で課題を抱えていた。中でも最大の問題点が、「バーストトラフィックによるシステムダウン」である。バーストトラフィックとは、瞬間的に突出した流量を示すようなトラフィックを指す。ANAが四半期に1度実施する割引キャンペーン「旅割」や「スーパー旅割」の発売日には1秒間に1000件ものアクセスが殺到するため、サーバに膨大な負荷がかかり、サイトを強制的に閉鎖せざるを得なかった。長いときには1時間も「Sorryページ」(お待たせ画面)を出し続けることもあったという。こうした事態は、「売り上げや顧客獲得の機会損失に加え、サービスの信頼性低下にもつながってしまう」と、ANAのIT推進室 開発推進部 国内旅客チーム、近藤貴仁氏は説明する。

 そうした中、老朽化を迎えていたシステムを更新するタイミングで、アーキテクチャ全体を見直すとともに、インフラとアプリケーションの構成を刷新することとなった。そこで掲げたテーマは、安定的な性能確保、品質向上という「信頼性の確保」と、営業戦略の推進を支えるシステム基盤の確立を目指した「戦略性の追求」である。また、システム刷新にあたり、プロジェクトチームを結成。ANAのIT推進室を全体統括として、関連部門10部署以上に加え、日本オラクル、日本ヒューレット・パッカード(HP)、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ウルシステムズなど関連協力会社20社以上からなる体制を構築した。ピーク時には300人以上を動員するほどの大規模プロジェクトとなった。

プロジェクトチームの体制概要 プロジェクトチームの体制概要
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